FP2級に独学で合格するための勉強方法について、わかりやすく解説します。
FP2級試験の合格率(きんざいの場合)は学科試験で約25%、実技試験は30%~50%となっており、事前対策さえしっかり行えば独学勉強でもそこまで難しいと考える必要はありません。この記事では、
- FP3級に合格したから次はFP2級を取得したい
- 金融機関等に2年以上勤務し、受験資格を満たしたからFP2級を取得しなければならない
- AFP認定研修を修了したからFP2級にチャレンジしたい
といった状況(FP2級試験の受験資格あり)の方に向け、FP2級を独学で、できるだけお金をかけずに勉強する方法、FP2級試験攻略のコツ、FP2級学習時間の目安などをまとめました。
筆者もFP2級を独学で勉強しました。合格体験談もお伝えします!
この記事の監修者 | ||
所属 | トータルマネーコンサルタント | |
氏名 | 新井智美 | |
専門 | 住宅ローン他各種ローン、資産運用、税制および相続 | |
URL | https://marron-financial.com/ |
FP2級試験の概要
実施団体 |
|
試験日 | 年3回 (1月、5月、9月) |
資格の種類 | 国家資格 |
学科試験 | 四答択一式 |
実技試験 | 記述(計算問題) マークシート |
試験時間 | 学科 120分 実技 90分 |
受験資格 |
|
ファイナンシャルプランナー2級の試験は、「日本FP協会」と「金融財政事情研究会(きんざい)」、2つの団体が実施しています。
「日本FP協会」と「きんざい」は異なる団体ですが、学科試験は同一問題が出題されます。「日本FP協会」と「きんざい」の違いは、実技試験の内容で、出題科目や出題数が違います。
「日本FP協会」と「きんざい」の違い
日本FP協会 | きんざい | |
学科試験 | 違いなし (同じ問題が出る) |
違いなし (同じ問題が出る) |
実技試験 | 1科目のみ | 4科目から選択 |
実施科目 | 資産設計提案業務 |
・個人資産相談業務 |
実技試験/出題数 | 40問 | 全部で5題の事例形式 |
実技試験/合格ライン | 100点満点中60点以上 | 50点満点中30点以上 |
AFP・CFP認定 | 実施あり | 実施なし |
団体の特徴 | FPを養成・認証する団体 | 金融財政政策の研究・情報普及する団体 |
参照引用:日本FP協会
参照引用:一般社団法人 金融財政事情研究会
日本FP協会、または金融財政事情研究会のどちらかが実施するFP2級の学科試験と実技試験に合格すれば「2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級技能士)」と名乗ることができます。FP技能士2級の資格に有効期限はありません。いちど合格すれば資格更新は不要です。
金融財政事情研究会または日本FP協会のどちらが実施するファイナンシャル・プランニング技能検定を受検しても、取得できる資格は同一です。
引用:FPに関するQ&A(一般社団法人 金融財政事情研究会)
FP試験はいきなり2級も受けられる?
FP2級には受験資格があります。受験資格を満たせば、FP3級取得前にいきなり受験も可能です。FP2級の受験資格は以下の通り。
- 2年以上の実務経験を有する者
- 3級FP技能検定の合格者
- 「厚生労働省認定金融渉外技能審査」で3級を合格した者
- 日本FP協会が認定する「AFP認定研修」を修了した者
FP3級試験をスキップして、FP2級をいきなり受けるには「実務経験2年以上、もしくは日本FP協会認定の「AFP認定研修」を修了(※)する必要があります。AFP認定研修は実務経験の有無を問わず、だれでも受講できます。
※日本FP協会の認定講座は、以下の記事で詳しく紹介しています。(例「ユーキャンのファイナンシャルプランナー講座」の受講で「2級FP技能検定」の受検資格が手に入ります)
くわしくはこちらの項で解説しています。
>ユーキャンのファイナンシャルプランナー講座の特徴
FP2級試験の実務経験については、以下の記事でくわしく解説していますので合わせて参考にしてください。
FP2級とFP3級との違い
FP2級試験はFP3級試験と比較して、より実務的な内容が問われる傾向にあります。FP2級を独学で勉強するために、まずは試験範囲を把握しておきましょう。
FP2級試験範囲 | FP3級試験範囲 | |
共通で出題 |
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|
FP2級のみ出題 |
|
– |
FP2級試験は合計9科目が出題されます。FP3級の試験範囲と重なる部分がほとんどではありますが、FP2級になると法人関係が加わり試験形式は少々グレードアップします。
試験範囲が広がり、さらには回答方法も四肢択一式問題に。FP3級と比較すると試験の難易度が上がるため、問題によっては「難しい」と感じる場合も出てくるかもしれませんが、過去問をしっかり勉強すればFP2級も独学で合格可能です。
FP2級の学科試験
FP2級学科 | FP3級学科 | |
○×問題 | なし | ○×問題(30問) |
選択問題 | 4択問題(60問) | 3択問題(30問) |
問題数 | 計60問 | 計60問 |
試験時間 | 2時間 | 2時間 |
学科試験/合格ライン | 36点以上 | 36点以上 |
FP3級では○×問題(30問)と三択問題(30問)だった学科試験がFP2級では4択問題のみ(60問)になります。4択問題は「最も適切なもの」または「最も不適切なもの」を4つの肢から選択する問題が出題されます。
選択肢を読み適不適を判断する問題が多いですが、なかには計算しなければ正解肢がわからない問題も出題されます。試験時間はFP3級と同じ2時間(10:00~12:00)ですので、時間配分には注意が必要です。
2時間で4択60問は制限時間がカツカツになりやすいので、計算問題など時間がかかりそうだなと判断したらいったん飛ばして最後に解くのも一考です。その理由は2つあります。
- 得点できたはずの問題を時間切れによって取りこぼさない
- 最後にまわすことで計算問題を落ち着いて解ける
「正解できたはずの問題」を取りこぼすともったいないので、時間がかかりそうな問題は最後にまわすのがFP2級合格のコツです。学科試験は60問(60点満点)のうち36点以上で合格となります。
FP2級の実技試験
日本FP協会 | きんざい | |
実技試験 | 1科目のみ | 4科目から選択 |
実施科目 | 資産設計提案業務 |
・個人資産相談業務 |
実技試験/出題数 | 40問 | 全部で5題の事例形式 |
実技試験/合格ライン | 100点満点中60点以上 | 50点満点中30点以上 |
FP2級を日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)で受験する場合は「資産設計提案業務」が実技試験ですが、金融財政事情研究会で受験する場合、4つの科目からの選択制になります。
金融財政事情研究会のFP2級実技試験
- 個人資産相談業務
- 中小事業主資産相談業務
- 生保顧客資産相談業務
- 損保顧客資産相談業務
この4つの選択科目は相談対象が「個人」なのか「中小事業主」「生保顧客」「損保顧客」なのかの違いだけで出題形式は同じです。
事例形式で5題(各3問の計15問)出題され解き方は下記3点でほぼ統一されています。
- 計算問題(年金受給額など詳細な計算が必要なものは計算式が資料として添付されている)
- 語句群から選ぶ(イ、ロ、ハ、ニ、ホ…から適切なものを選択する)
- 適切な設問には○を不適切な設問には×をマークする
4つの選択科目いずれも50点満点のうち30点以上で合格となります。問題の難易度も大差ありませんので好きな科目を選んでいいと思いますが、一つ注意点があります。
FP2級試験は年3回実施されますが、すべての選択科目が毎回実施されるわけではないのです。
- 損保顧客資産相談業務は9月試験のみ実施
- 中小事業主資産相談業務は1月試験と9月試験で実施
毎回実施されているのは「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」です。
この点を考慮すると損保や中小事業主を選ぶ特段の事由(仕事の関係など)がないのであれば個人資産か生保顧客を選択するほうがいいと考えられます。
筆者は「個人資産相談業務」を受験しました!
FP2級の合格率
FP試験は学科試験、実技試験ともに60%以上の正解で合格する絶対評価試験ですので、合格率は試験問題次第で大きく変わります。
過去の試験データからひもとくと学科試験で約25%、実技試験は30%~50%(きんざいの場合。個人資産相談業務がやや低い(難易度が高い)傾向)。実技試験よりも学科試験で苦戦する人が多いです。
合格率だけで判断するとやや難しい試験に思えますが、FP2級受験者の中には勉強せずに試験だけ受けに来た人(会社から受けるように言われている)がいらっしゃいますので、実際の合格率はもっと高いです。
受験者数や合格者数、合格率は日本FP協会と金融財政事情研究会のホームページに詳細データが記載されています。
ファイナンシャルプランナー2級の合格率は、近年では学科が約20~60%、実技が約40~70%の間を推移
引用:ファイナンシャルプランナー2級の難易度と合格率を解説!3級と違う3つの要素
FP2級を独学で効率的に勉強する方法
FP2級を独学で効率的に勉強するには「テキスト」と「過去問題集」を徹底的に利用しましょう。
- 過去問を繰り返し解く
- 間違えた部分、分からなかった部分のテキストを読み直す
暗記も必要にはなりますが、過去問題を何度も解いて不明点がなくなるまで学ぶのが合格への近道です。
以下に、FP2級独学合格に向けた「テキスト・問題集選び」について解説します。
FP2級の独学|テキストの選び方
FP2級を独学で取得するにあたりテキスト(参考書)選びはとても重要です。市販されているテキストから選ぶコツは下記3点。
- 資格講座の大手が出版しているテキスト(参考書)
- 出版日(販売日)に注意して例年5月から6月に出版される新刊を買う
- ページ数ではなく読みやすさを重視
上記3点を満たすテキスト(参考書)と問題集がFP2級独学合格に大切です。それぞれ解説します。
FP2級 独学テキストの選び方①大手出版の参考書
FP2級は年間約12万人が受験する人気の高い資格です。そのため市販されるテキスト(参考書)も複数の会社から販売されています。
数が増えると選べる範囲が広がり、いいことのように思いますが、反面どれを選べばいいのか迷いが生じてしまいます。
実際に各社のFP2級テキストを目で見て確認してみると「どの会社も要点をおさえた素晴らしいテキストだ」ということが分かります。
そのうえで資格講座の大手が出版しているテキスト(参考書)をおすすめする理由は3つあります。
- 大手は大手であり続けるために絶えず情報収集しており、テキストの完成度が高い
- わかりやすいテキストを作るノウハウがある
- 法令改正が発生した場合、出版社のホームページなどで記載内容の訂正をタイムリーに確認できる
FP2級 独学テキストの選び方②出版日(販売日)に注意
FP試験では、試験ごとに「どの時点の法令で試験を行うか(法令基準日)」が決められます。最新のテキストで学ぶためには、法令基準日を意識する必要があるため、テキストの出版日も意識しておきましょう。
5月試験の法令基準日は、前年の10月1日と規定されています。これは前年の10月1日時点の法令に基づいて試験問題が出題されるということです。
9月試験は同年4月1日、翌年1月試験は前年10月1日が法令基準日です。そのため常に試験日の法令に対応したテキスト(参考書)での勉強が望ましいです。
出版社によって発売日が違いますので一概には言えませんが、例年5月から6月に新刊がでる傾向にあります。もしFP2級を取得しようとテキスト(参考書)を探しているのが3月や4月などであれば2~3カ月待ってみるといいかもしれません。
試験科目のタックスプランニングは法令改正が行われやすいので、FP2級独学の場合は注意。
FP2級 独学テキストの選び方③読みやすさ重視
FP2級を独学で受験する人の中には独学ゆえの心細さからページ数の多い分厚いテキストを選択する人がいらっしゃいます。
確かに分厚いテキストはその分量の多さから、より詳細に項目を把握できるメリットがありますが、FP2級試験に合格するためには「ほぼ確実に出題される問題を確実に得点する」ことにあります。
FP2級は試験問題全体の60%以上の正解で合格できますので基本的な問題の取りこぼしを防ぐのが最も大事。そのためには読みやすいテキスト(参考書)が内容を理解しやすくおすすめです。
FP2級の独学|テキストと問題集のおすすめをズバリ紹介!
- 大手が出版しているテキスト
- 読みやすいテキスト
- 5月~6月に出版された新刊
市販されているFP2級の独学向けテキストと問題集から上記3つの要件を満たす参考書を紹介します。
FP2級の独学|テキスト(参考書)のおすすめ
FP2級の独学|過去問題集のおすすめ
FP2級の独学|通信講座のおすすめ(実務経験なしOK、動画講義あり)
「FP2級を独学で学びたいけど、文字ばかりのテキストだけでは不安」
「法改正に対応した、最新の講座で学びたい」
という場合は、通信講座大手のユーキャンのファイナンシャルプランナー講座がわかりやすくておすすめです。
ユーキャンのFP講座は、日本FP協会の認定講座となっており、講座受講で「2級FP技能検定」の受検資格が手に入るため、実務経験がなく現時点で受験資格がない場合でもFP2級に挑戦できます。
ユーキャンFP講座の特徴をまとめたものが以下。
- 日本FP協会の認定講座
- 実務経験なし、FP3級未取得でも講座修了で「2級FP技能検定」の受検資格取得
- 動画講義あり
- スマホ学習対応
- 添削:あり
- 質問受付:あり
- 標準学習期間:6ヵ月
- 受講開始から12ヵ月まで指導
- 受講生の98%が初学者
- 合格実績多数
- 法改正情報や試験の傾向分析などが配信され、情報収集の手間が省ける
- 教育訓練給付制度を利用すれば、学費の20%支給
FP2級の初学者が独学で一発合格を目指すなら、試験での出題ポイントが絞り込まれた教材の利用がおすすめです。FP2級は試験範囲が広く、深い知識が必要となるため、無計画に勉強していては時間がいくらあっても足りません。
ユーキャンのFP講座は、試験に出るポイントがギュッと絞り込まれたテキストになっており、図解やイラストも含め分かりやすいのが特徴的。FP2級を独学、かつ最短の合格を目指す場合の強い味方となります。
FP3級を取得済の場合
FP2級の学習方法はすでにFP3級を取得している場合とはじめてFP試験を受験する場合で少々おすすめが異なります。
FP3級を取得している場合はFP試験の基礎知識がある状態ですので問題集メインの学習が効率的です。
- FP2級テキスト(参考書)を1回読む
- 問題集を解く
- わからない問題をテキストで確認
- (以降、②③を繰り返す)
テキスト(参考書)を補助教材として問題集を解くスタイルが合格水準までの最短ルートです。
はじめてFP2級を独学受験する場合
基礎知識がない状態でFP2級を独学で勉強する場合はテキスト(参考書)からの学習が効率的です。
- FP2級テキストを流し読みする
- FP2級テキストを熟読
- 問題集を解く
- わからない問題をテキストで確認
- (以降、③④を繰り返す)
最初にテキストを流し読みするときは、できるだけ日をまたがず、一気に読み終えるのが理想です。手始めに、どんな項目が試験で問われるのかを、おおざっぱに把握するだけでOKです。
2度目にテキストを読むときは、時間をかけて丁寧に読みましょう。完璧に覚える必要はありませんので、全体の2割程度を記憶できれば問題を解くうえでの基礎知識となります。
最初はテキスト(参考書)の通読でファイナンシャルプランナーについての基礎力を身に着け、勉強の中盤からは問題集メインで勉強していきます。
FP2級独学合格に必要な勉強時間の目安
FP2級独学合格に必要な勉強時間は、FP3級の基礎知識がある場合は約100時間、はじめて学習する場合で約200時間といったところです。(人それぞれ状況が違いますので目安程度にはなります)
100時間~200時間と述べた根拠は、知り合いのファイナンシャルプランナー(独学でFP2級取得)に聞いたところ、基礎知識アリで100時間、なしで200時間程度の回答が多かったためです。
民間のFP資格講座などでも、FP2級は150時間~300時間の勉強時間を目安としている塾が多いです。
FP2級合格のためには、150時間から300時間ほどの勉強時間が目安だと言われています。
引用:FP2級に合格するには、どのくらい勉強時間を確保すべき?
筆者の体験談:FP3級の知識ありの状態で1日1時間の勉強を約3カ月して合格しました!
<FP2級を独学で!分かりやすい解説動画>
【合格最優先!初学者向け。FP2級の勉強方法についての動画】1級FP技能士おーちゃん
さいごに
この記事ではFP2級に独学で合格するために必要な試験攻略のコツ(試験問題の傾向や実技試験の注意点など)とテキスト(参考書)選びや勉強方法を紹介しました。FP2級を独学で受験される方の参考になれば幸いです。
FP2級とAFPを同時取得できるおすすめ通信講座については、以下の記事で解説しています。あわせて参考にしてください。