こんにちは。
ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
・資産運用をはじめたいけど、投資の種類がよくわからない
・資産運用の目的に合った投資の種類が知りたい
・資産ポートフォリオの見直しに新しい投資を検討したい
・分散投資やヘッジ取引に活用できる投資手法をみつけたい
上記のような目的や悩みを解決するために「投資の選び方」と「計10種類の投資のリターン、リスク、最低投資金額、運用期間の目安」をわかりやすく解説します!
投資の種類は4つの判断基準を組み合わせて検討する
投資の種類は4つの判断基準「投資目的」「投資金額(資金)」「リスク許容度」「投資に対する考え方」を組み合わせて検討するとご自身に合った資産運用方法がみつかりやすいです。
投資目的:「老後に向けた長期的な資産運用」「住宅の頭金や教育資金など近い将来に向けた資産運用」「預貯金では不安だから、とりあえず資産運用をはじめたい」など
投資金額:「数百万単位などのまとまった資金での資産運用」「10万円未満や30万円未満などの少額資金での資産運用」「毎月数千円~数万円などの積立型の資産運用」など
リスク許容度:「現在の年齢」「家族構成」「所得構成」など
投資に対する考え方:「安定重視のローリスク・ローリターン」「利益重視のハイリスク・ハイリターン」など
4つの判断基準を組み合わせて投資の種類を検討する場合の一例
ケース1:20代会社員(独身)
投資目的:老後などの将来に向けて長期的な資産形成をしたい
投資金額:毎月の給料で数千円~数万円の範囲で投資したい
リスク許容度:20代独身で、かつ給与による安定収入があるので、ある程度リスクをとれる
投資に対する考え方:投資経験が浅いため勉強しながら資産形成したい、安定収益よりも高い利回り(リターン)を目指したい
このケースでは運用初期は「積立タイプの投資信託」や「AIによるロボアドバイザー投資」を利用して、ある程度の投資知識が身についた後は「株式投資」や「FX」なども投資ポートフォリオに組み入れて運用していくと成長にあわせたリスク管理がしやすいです。
ケース2:60代もうすぐ定年(家族アリ)
投資目的:年金だけでは生活費が足りないため退職金で運用したい
投資金額:退職金
リスク許容度:60代で退職後は給与収入がなくなるため、リスクはあまりとれない
投資に対する考え方:とにかく退職金(投資元本)を守りながら年利数%の利益がとれる投資をしたい
このケースでは「株式投資」や「FX」などの相場が上下しやすい投資種類ではなく、運用期間があらかじめ定められており、かつ元本に損失が発生しにくい仕組みがある「優良企業に限定した貸付投資ができるFunds(年利1.5%~6.0%)」や「不動産投資型クラウドファンディング(年利3.0%~6.0%)」、「ソーシャルレンディング(年利5.0%~10.0%)」などが運用に適しているといえます。
上記のケースはあくまでも例にすぎませんが、資産運用にあたっては【投資目的×投資金額×リスク許容度×投資に対する考え方】を基準に判断されると目的に合った投資の種類をみつけやすいです!
それでは10種類の投資方法に係る特徴を解説していきます。
株式投資
株式投資とは証券取引所を介して株式を購入することで当該企業の株主(所有者)になる投資方法です。
株式を購入した投資家は株主として「議決権(株主総会に出席するなど、会社の経営に参加する権利)」「剰余金配当請求権(会社に発生した利益を配当金として請求する権利)」「残余財産分配請求権(会社が解散したときに残った財産の分配を受ける権利)」の3つの権利が認められています。
取引方法には「現物取引」と「信用取引」があり、信用取引では証拠金の最大3.3倍の取引ができ「売り」から取引をはじめることもできます。
株式投資(国内上場株式)の特徴
リターン:安く買って高く売ることで発生する値上がり益、株式保有中の配当金、株主優待
リスク:値下がりによる価格変動リスク、上場企業の倒産(信用)リスク、経済・社会の混乱による需給悪化のリスク
投資金額:通常、株式は100株を1単元として取引するため、例えば500円の株であれば500円×100株=50,000円の資金が必要。ただし10株から購入できる「ミニ株」や1株から購入できる証券会社もあるため数百円程度から投資可能
運用期間:定めなし。投資スタイルに応じて短期のデイトレードや中長期スパンでの投資など自由に行える
株式投資の種類
・国内の上場株式投資(約3,700社)
・IPO(新規公開株式)投資
・外国株式投資(米国株式、中国株式など)※国内株式のリスクに加えて為替変動リスクやカントリーリスク(その国の経済、社会、政治等のリスク)がある
・非上場株式投資(株式投資型クラウドファンディングなど)※上場株式と比べて換金できる場が少なく信用力においてもリスクが高い、ただし将来のIPOによる大きなリターンが期待できる投資方法
(証券口座の記事)
(少額投資OKのおすすめ証券会社)
(株式投資型クラウドファンディングの解説記事※非上場株式への投資)
(おすすめの株式投資型クラウドファンディング)
投資信託
投資信託とは多数の投資家から集めた資金をひとつにまとめて専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券に投資する運用方法です。投資家は基準価格上昇による値上がり益や分配金を受け取ることができます。
投資信託には「投資対象地域(国内、海外先進国、新興国)」の違いや「投資対象商品(株式、債券、不動産、金や原油などのコモディティ)」の違い「運用方針(日経225などの指数に連動する成果を目指すインデックス型、インデックス型を上回る成果を目指すアクティブ型)」の違いなどによって様々な種類があります。
ETF(上場投資信託)という証券取引所に上場している投資信託は株式と同じように売買することが可能です。(通常の投資信託よりも信託報酬(手数料)が安い傾向にあります)
投資信託の特徴
リターン:基準価格が上がることによる値上がり益、分配金
リスク:元本保証はなく価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、金利変動リスクがある。さらに海外に係るものは為替変動リスク、カントリーリスクもある。投資信託の購入時、保有中、売却時に、それぞれ手数料が発生する(※購入時手数料無料のノーロード投資信託もある)
投資金額:数千円程度から購入可能。投信積立を利用する場合は月100円程度から投資できる
運用期間:自由。ただし信託期間として10年程度の運用期間が設定されているファンドが多い
投資信託には「専門家が運用するため投資初心者でもはじめやすい」「種類が豊富で少額から購入できるため分散投資がしやすい」というメリットがあります。
債券投資
債券投資とは国や地方公共団体、企業等にお金を貸すことで利子を受け取れる投資方法です。
現在はペーパーレス化されていますが「債券」とはお金の貸し借りを行うときの「借用証書」のことで借り手が国の場合は国債、地方公共団体の場合は地方債、企業の場合は社債といいます。
債券には額面金額が記載されており、投資家は満期まで保有すると額面金額で償還を受けることができます。(満期を待たずに市場価格で売却することも可能)
割引債であれば額面金額より安く購入することができるので額面との差額が利益となり、利付債であれば保有期間中に決められた利息の支払いを受けることができます。
なお、発行体、発行市場、発行通貨のいずれかが外国のものを外国債券といい、国内債券に比べて金利が高く設定されているケースが多いですが、為替変動リスクなど特有のリスクがありますので投資にあたっては注意が必要です。
個人向け国債(固定5年)の特徴
リターン:表面利率年0.05%(税引き後0.0398425%)
リスク:国の信用リスク
投資金額:1万円以上1万円単位
運用期間:5年※発行後1年経過すればいつでも国の買取による中途換金が可能(ただし直前2回分の利子相当額が差し引かれる)
※毎月募集及び発行される個人向け国債には「固定金利5年」以外にも「固定金利3年」と「変動金利10年」のタイプがある
個人向け国債よりもリスクが高くなるぶん社債が利回りは高くなります。ただし個人向けに小口化されている個人向け社債でも10万円~100万円程の資金が必要になり、取り扱っている証券会社も少ないので購入しづらい現状があります。
そこで社債投資に代わる資産運用手法として注目されているのが【Funds】が提供する「資金の借り手を上場企業(または優良企業)に限定した貸付投資」です。
利回りは年1.5%~6.0%で1円から投資することができ、運用期間も数カ月から1年程度ですので長期間資金が拘束されることもありません。
不動産投資
不動産投資には大きくわけて「現物不動産投資」「REIT」「不動産投資型クラウドファンディング」があります。
現物不動産投資
現物不動産投資とはマンションやアパートなどの不動産を取得して、その不動産から発生する賃貸料収入や売却収入を得る投資方法です。
現物不動産投資は「マンションorアパートor戸建て」「ワンルーム(区分)or一棟買い」「新築物件or中古物件」「都心物件or郊外(地方)物件」による違いや建物の構造(木造や鉄筋コンクリートなど)、間取り、設備によって、購入価格(地方の中古ワンルーム物件で300万円程度~、一棟買いの場合は数億円~)や投資利回り(地方の中古物件は利回りが高くなる傾向にあり、都心物件は低めになりやすい)がそれぞれ異なります。
おもなリスクには空室リスク、建物の老朽化リスク、自然災害リスクなどの不動産特有のリスクや不動産市場の下落による価格変動リスク、不動産は一般的に高額になりやすいので売りたいときに買い手がみつかりにくい流動性リスクもあります。
会社員などの安定収入がある人はローンを組むことでレバレッジを効かせた不動産投資が可能ですが、高額投資になりますので、収支計画や賃貸経営シミュレーションの徹底、資料請求やセミナーなどにも参加して慎重にすすめていくことが大切です。
(無料で資料請求ができるおすすめの不動産会社)
REIT
REITとは不動産(マンションやオフィスビル、ホテルなど)を投資対象にした投資信託のことです。証券取引所に上場していますので株式と同じように取引することができます。(2万円程度から購入可能)
(REITの解説記事)
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングとは多数の投資家から集めた資金とクラウドファンディング事業者の資金をつかって不動産(マンションやオフィスビル、ホテル、商業施設など)を取得する投資方法です。
不動産取得後の管理運営はすべて事業者が行い、投資家は出資額に応じて分配金を受け取ることができます。1万円程度から投資に参加することができ、優先劣後の出資規定(不動産に損失が発生した場合、まずは劣後出資者となる事業者が損失を引き受ける規定)がありますので投資家は一定割合までは元本割れしないようになっています。
不動産投資型クラウドファンディングの特徴
リターン:分配金利回り年3.0%~6.5%程度(物件や事業者によって異なる)
リスク:不動産投資特有のリスク、クラウドファンディング事業者の破綻リスク
投資金額:1万円から投資可能
運用期間:6カ月~24カ月程度が多い
(不動産投資型クラウドファンディングの解説記事)
(おすすめの不動産投資型クラウドファンディング)
FX(外国為替証拠金取引)
FX(外国為替証拠金取引)とはFX会社の口座に証拠金を預け入れることで、米ドル/円やユーロ/円などの通貨ペアを、証拠金をもとに取引できる投資方法です。
外貨預金との違いはFXは証拠金取引ですのでレバレッジという仕組みを活用することで資金以上の取引ができること(国内のFX会社を利用して個人が取引をする場合、最大25倍のレバレッジ取引が可能)、取引手数料が安いことがあげられます。
FX(外国為替証拠金取引)の特徴
リターン:為替差益、スワップポイント(2国間の金利差調整額)
リスク:為替変動リスク、金利変動リスク、レバレッジ取引による追証発生リスク(証拠金以上の損失が発生すること)、スリッページ(注文価格がずれて約定すること)
投資金額:取引単位や通貨ペアによって異なる。例・米ドル/円の為替レートが100円の場合、1万通貨単位なら40,000円から、1,000通貨単位なら4,000円から取引可能。なお1通貨単位で取引できるFX会社もある
運用期間:自由。投資家によってスキャルピングやデイトレード、中長期投資など様々なトレードスタイルがある
(FX取引の解説記事)
(おすすめのFX会社)
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは貸付型(融資型)クラウドファンディングとも呼ばれている投資手法で、投資家はソーシャルレンディング事業者を介して資金を必要としている企業に融資することで、返済利息にあたる分配金を受け取ることができます。
融資を希望する企業は一定の事業計画(資金の使途や返済プラン)に基づいてソーシャルレンディングに申し込んでいるので融資後の運用期間が比較的短く、分配金利回りも高めに設定されているので投資家の注目度も高い投資方法となっています。
ソーシャルレンディングの特徴
リターン:分配金利回り年6.0%~10.0%程度(事業者によって異なる)
リスク:返済遅延や事業計画未達によって分配金が支払われないリスク、ソーシャルレンディング事業者の破綻リスク
投資金額:1万円から投資可能(事業者によっては2万円~など異なる場合アリ)
運用期間:6カ月~12カ月程度の短期案件や3年程度の案件など事業者によって異なる
(ソーシャルレンディングの解説記事)
(おすすめのソーシャルレンディング)
ロボアドバイザー投資
ロボアドバイザー投資とはAIを活用した投資手法のことです。投資家は簡単な質問に答えるだけでノーベル賞受賞者の理論に基づく資産運用を実践することができます。
投資商品の構成はおもに海外ETF(外国株式、外国債券、不動産、ゴールドなど)となっており、投資家のリスク許容度に応じて自動で最適な組み合わせが提案されますので、投資経験が浅い人でもはじめやすい投資といえます。
ロボアドバイザー投資の特徴
リターン:運用益※利回りはロボアドバイザー会社やリスク許容度、運用期間、運用のタイミングで異なる
リスク:価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスクによって元本が割れてしまう可能性がある。資産額に対して年間1%程度の手数料がかかる(資産額やロボアド会社によって優遇規定あり)
投資金額:1万円から投資可能で積立投資もできる(THEO+docomoの場合)
運用期間:自由。ただしロボアドバイザー投資は長期投資を前提に設計されているため短期投資には向いていない
仮想通貨投資
仮想通貨(暗号資産)とは紙幣や硬貨などの実物が存在しない「インターネットを介して取引できる通貨」のことです。
中央銀行などの通貨発行管理者が存在しないため「ブロックチェーン」という高度な技術をもちいて信用を担保しています。
代表的な仮想通貨にはビットコインがあり、発行上限が2,100万枚と規定されている点に特徴があります。なお、ビットコイン以外の仮想通貨(イーサリアムやリップルなど)を総称してアルトコインといいます。
モノやサービスの決済手段としての用途や海外送金を無料(または格安)で利用できるなどメリットもある仮想通貨(暗号資産)ですが、2008年の一つの論文から誕生した歴史の浅い通貨ですので、将来性が不透明なこともあり価格の値動きも激しくなっています。(ハイリスク・ハイリターン)
仮想通貨投資の特徴
リターン:値上がり益
リスク:価格変動リスク、ハッキングや盗難リスク、暗号資産(仮想通貨)交換業者の破綻リスク
投資金額:100円程度~(ビットフライヤー)、500円程度~(コインチェック)
運用期間:自由
(仮想通貨の解説記事)
(おすすめの仮想通貨取引サービス)
金・プラチナ投資
投資対象としての【金(ゴールド)】や【プラチナ】には「実物資産としての価値」「希少性」「インフレに強い」「発行体が存在しないので信用リスクがない」というメリットがあります。
投資方法には「インゴット・コインの購入」「純金・プラチナ積立」「金ETF・プラチナETFの買付け」「先物取引」「金・プラチナ製品の購入」など様々な種類がありますので資産運用の目的にあわせて検討することができます。
金・プラチナ投資の特徴
リターン:値上がり益
リスク:価格変動リスク、為替変動リスク
投資金額:金1g=6,776円、プラチナ1g=4,166円。積立投資は月3,000円程度からはじめることができる
※1gあたりの金額は2021年2月5日における田中貴金属工業株式会社が提示している税込小売価格です
運用期間:自由
(金投資の解説記事)
(プラチナ投資の解説記事)
保険を活用した投資
保険と言えば万が一に備える「生命保険」や、病気やケガによる入院に備える「医療保険」、自動車事故や火災事故に備える「損害保険」が代表的ですが、こういった保険を活用して資産運用をすることも可能です。
投資性の強い保険商品には「変額保険(特別勘定部分を株や債券などで運用することで保険金や解約返戻金が増減するタイプ)」や「外貨建て保険(保険料の払い込みや保険金の支払いを外貨で行うタイプ)」がありますが、その他にも資金目的に応じて様々な保険種類があります。
資金目的別の保険種類
老後資金:個人年金保険(定額型年金・変額年金)
教育資金:学資保険、こども保険
介護資金:介護保険
保険を活用した資産運用のメリットは万が一が起きた場合の保障を兼ねて運用ができる点にあります。ただし、自分が加入した保険は誰かに売却できるものではないので株式や債券などの投資商品と比べて流動性が低く、途中解約する場合、解約返戻金が少なくなってしまう可能性があります。
そのため保険で資産運用をする場合は一度契約したら満期まで続ける決意で行うのが望ましいです。
下記は「じゃらん」などでおなじみのリクルートが運営する【無料FP相談】の解説記事です。保険の相談だけでなく、家計管理や資産運用、教育、介護資金など様々なお金に関する問題をファイナンシャルプランナーに無料で相談することができますので、気になった方はぜひご覧ください。
さいごに
この記事では10種類の投資方法について、リターンやリスク、投資金額、運用期間などの特徴を解説しました。
一般的に株式投資やFX、仮想通貨投資はリスクが高い投資種類として危険なイメージが持たれていますが、いずれも数百円程度から投資可能ですので、リスクの面で投資を控えていた人も、投資効率UPや資産運用の幅を拡大させるために、まずは少額投資としてチャレンジされるといいかもしれません。
また、値動きの異なる投資種類(例:株式と債券)をポートフォリオに組み込むことで、よりリスクをおさえた資産運用につながる可能性が高いので、ご自身の【投資目的×投資金額×リスク許容度×投資に対する考え方】に応じて各投資種類の組み入れ比率を検討しましょう。
この記事が資産運用の参考になれば幸いです!