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ポートフォリオ効果によるリスク低減の仕組みを計算例で解説

ポートフォリオ効果によるリスク低減の仕組みを計算例で解説

こんにちは。

ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。

この記事では↓

ポートフリオ効果でリスクが低減するって聞いたけど、どういう意味ですかね、さっぱりわかりません。

こんな疑問を解決します。

ポートフォリオ効果とは

ポートフォリオ効果とはポートフォリオに各資産を組み入れることでポートフォリオ全体でみたリスク(標準偏差)が各資産のリスクの平均値以下になるリスク低減効果のことです。

なお、リスク低減効果は相関係数が-1に近づく(2つの証券の値動きが逆に動く)ほど効果が高くなります。

性格の異なった複数の銘柄を組み合わせることにより、一銘柄の株価が急落しても他の銘柄でカバーできることもある。
引用:ポートフォリオ運用(野村証券)

hana
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この記事ではわかりやすく説明するためにポートフォリオを2証券(証券Aと証券B)で組んだ場合のリスク低減効果を例にします。

各証券の期待収益率と標準偏差

以前こちらの記事↓で分散と標準偏差の解説をした証券を証券Aとします。

証券Aの期待収益率と標準偏差

好況:予想収益率20%、生起確率30%

普通:予想収益率6%、生起確率40%

不況:予想収益率-10%、生起確率30%

期待収益率:5.4%

標準偏差:11.63%

証券Bは証券Aとほとんど逆の値動きをする証券とします(相関係数を考慮して)

証券Bの前提条件

好況:予想収益率-16%、生起確率30%

普通:予想収益率3%、生起確率40%

不況:予想収益率25%、生起確率30%

証券Bの期待収益率と分散、標準偏差

①期待収益率

-16%×0.3+3%×0.4+25%×0.3=3.9%

②分散

(-16%-3.9%)²×0.3+(3%-3.9%)²×0.4+(25%-3.9%)²×0.3

=118.803+0.324+133.563

=252.69

③標準偏差

√252.69=15.90%

ポートフォリオ効果の計算

仮に証券Aと証券Bの組み入れ比率を5:5に設定して各証券のリスク(標準偏差)を単純に加重平均した場合。

11.63%×0.5+15.90%×0.5=13.765%

証券Aと証券Bの各資産のリスク(標準偏差)の合計は13.765%となります。

証券Aと証券Bをポートフォリオ(5:5)として運用した場合の予想収益率と期待収益率

好況:予想収益率(20%×0.5+(-16%)×0.5)=2%、生起確率30%

普通:予想収益率(6%×0.5+3%×0.5)=4.5%、生起確率40%

不況:予想収益率(-10×0.5+25×0.5)=7.5%、生起確率30%

期待収益率:5.4%×0.5+3.9%×0.5=4.65%

証券Aと証券Bをポートフォリオ(5:5)として運用した場合の分散、標準偏差

①分散

(2%-4.65%)²×0.3+(4.5%-4.65%)²×0.4+(7.5%-4.65%)²×0.3

=2.10675+0.009+2.43675

=4.5525

②標準偏差

√4.5525=2.13%

※小数点第三位を四捨五入

上記計算例のように証券Aと証券Bを組み入れたポートフォリオのリスク(標準偏差)は2.13%となり、各証券のリスク合計値である13.765%よりも大幅にリスクを低減することができました。

これがポートフォリオ効果と言われるリスク低減の仕組みで資産の値動きが逆のものを組み合わせることで効果を大きくすることができます。

<ポートフォリオ関連の参考動画>

<【資産運用】ポートフォリオはどのくらいの頻度で見直すべき?>

さいごに

今回はポートフォリオ効果のリスク低減の仕組みを計算例をもちいて説明しました。

値動きの異なる資産を組み入れることでリスクを低減できるとは、言ってみれば片方が利益のときはもう片方は損失になるということですので、常にポートフォリオ効果が最大になるように運用資産を組み入れることが正解ということではありません。

ですが長期的な資産運用においては相場の大暴落など不測の事態が起きることがあります。

その点を考慮すると最悪の事態に備えてある程度資産を分散しておくことは大事なことである、と言えます。

ポートフォリオ効果によるリスク低減の仕組みが資産運用のお役に立てば幸いです。

2資産間のリターンのばらつき度合い(リスク)の関連性を測る「共分散」については以下の記事もご覧ください。