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ソルベンシーマージン比率や格付けで保険会社の健全性を確認する

ソルベンシーマージン比率や格付けで保険会社の健全性を確認する

こんにちは。

ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。

この記事では↓

加入している生命保険会社が万が一破綻しても90%は補償されるみたいだから安心感はあるのですが、念のため保険会社の経営の健全性をみる指標があれば教えてください。

こんな質問に答えます。

なお、生命保険会社が万が一破綻した場合に補償される「90%」とは契約している保険金額ではなく「責任準備金の90%」ですので注意が必要です。

責任準備金とは保険会社が将来の保険金や解約返戻金等の支払いのために積み立てている準備金のことです。

この責任準備金が少なければ万が一のとき十分な補償を受けられないといった事態になる可能性もあります。

そこで、この記事では生命保険会社の経営の健全性をみる目安となる「ソルベンシー・マージン比率」「格付け」「EV(エンベディッド・バリュー)」について解説します。

ソルベンシー・マージン比率とは

ソルベンシー・マージン比率とは大災害や金融・経済等の混乱等の通常のリスクを超えるリスクに対する保険会社の保険金支払余力をみることができる指標です。

hana
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ソルベンシーが「負債等に対する支払い能力や財務健全性」、マージンが「時間や経費等の余裕、余地」のことですのでソルベンシー・マージン比率を日本語にすると保険会社の負債等に対する支払い能力の余裕率となります。

このソルベンシー・マージン比率の数値をもとに金融庁(保険会社の監督官庁)は保険会社に対して経営改善命令等の健全性を確保するための措置をとることができます。

ソルベンシー・マージン比率の計算方法

ソルベンシー・マージン比率の計算式は下記になります。

ソルベンシー・マージンの総額÷(リスクの合計額×2分の1)×100=ソルベンシー・マージン比率(%)

hana
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計算式だけではわかりづらいのでソルベンシー・マージンの総額に含まれるもの、リスクに該当するものを下記記載します。

ソルベンシー・マージンの総額に含まれる主なもの

・資本金または基金等

・価格変動準備金

・危険準備金

・一般貸倒引当金

・その他有価証券の評価差額(含み益の場合は90%で評価)

・土地の含み損益(含み益の場合は85%で評価)

・負債性資本調達手段等

・控除項目

・その他

リスクに該当するもの

・保険事故の発生による保険リスク

・第三分野保険の保険リスク

・運用利回りが予定していた利回りを下回る予定利率リスク

・保有資産の価格下落等の資産運用リスク

・業務上の経営管理リスク

・その他巨大災害等の発生リスク

※2012年(平成24年)3月期からは算出基準の見直しが行われたことでソルベンシー・マージンへの算入やリスクの計測が厳格化されています。

通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断する行政監督上の指標のひとつがソルベンシー・マージン比率
引用:ソルベンシー・マージン比率とは?(ソニー生命)

ソルベンシー・マージン比率の目安

ソルベンシー・マージン比率は計算式からもわかるようにその数値は高ければ高いほど財務健全性が高いと判断されます。

○○%以上なら安心といった判断はできませんが、一般的に200%~400%程度あることが保険契約時の保険会社の健全性の目安と考えられることが多く、800%~1000%以上になると健全性が非常に高いと判断されることが多いです。

ただし、新規参入した保険会社の場合、保有契約数の少なさから保有資産に対するリスク割合が少ない傾向にありますので実態以上にソルベンシー・マージン比率が高くでることがあります。

そのためソルベンシー・マージン比率を参考にするさいは保険会社の営業年数等にも注意が必要です。

反面200%未満の数値は保険会社への早期是正措置等の関係で明確な基準が設けられています。

200%を下回った場合に是正措置命令を発動
引用:ソルベンシー・マージン比率とは?(金融庁)

①ソルベンシー・マージン比率が100%以上200%未満

監督官庁から経営改善計画の提出や実施命令が出されます。

②ソルベンシー・マージン比率が0%以上100%未満

配当やリスクの高い投資活動の抑制や予定利率の変更、営業所の一部業務縮小などの経営改善命令が出されます。

③ソルベンシー・マージン比率が0%未満

全部または一部の業務停止命令が出されます。

保険会社の格付け

保険会社の格付けには、S&P(スタンダードアンドプアーズ)社が行う「保険財務力」の格付けやR&I(格付投資情報センター)が行う「保険金支払能力」の格付けなどがあります。

いずれの格付けも評価はアルファベットで表示され最も高い格付けがAAA(トリプルエー)となっており、次いでAA+(プラス)、そしてAA(ダブルエー)、AA-(マイナス)と続き、最も評価の低い格付けがDとなっています。

保険契約時の安全性の目安としては「」以上あることが一つの基準として考えられています。

なお、一般的に「BBB-」以上であれば投資適格、「BB+」以下は投機的と判断されています。

EV(エンベディッド・バリュー)

EV(エンベディッド・バリュー)とは生命保険会社の企業価値や業績を評価することで保険会社の健全性をみることができる指標です。

貸借対照表等に基づいて計算される「修正純資産」と保有契約から生じる将来利益の現在価値として計算した「保有契約価値」の合計がEV(エンベディッド・バリュー)となります。

EV(エンベディッド・バリュー)の計算式

修正純資産+保有契約価値=EV(エンベディッド・バリュー)

第一生命グループのEV画像参照:第一生命グループのEV

なお、EV(エンベディッド・バリュー)は保険会社にとっても生命保険契約で起こりやすい費用と収益のズレ(タイムラグ)を将来利益を現在時点で評価できるため有用な指標として考えられています。

欧州を中心とする海外の生命保険会社でエンベディッドバリューをベースとした株価評価が広がり、日本国内でも決算情報とともに公表する保険会社が増加している。
引用:エンベディッドバリュー(野村証券)

さいごに

この記事では生命保険会社の健全性を知る目安として「ソルベンシー・マージン比率」「格付け」「EV(エンベディッド・バリュー)」を紹介しました。

これらの指標は1つだけを利用するのではなくあわせて活用することで、より保険会社の財務や経営の健全性を把握することができます。

せっかく契約した保険契約が保険会社の破たん等により減額などの事態にならないよう契約前に保険会社の健全性は可能な限り押さえておきましょう。

生命保険関連の情報は以下の記事でも取り扱っています。あわせて参考にしてください。