こんにちは。
ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
この記事では↓

とうとう今月の家賃が払えそうにない…さて、どうしたものか…
こんな場合の対処法を紹介します。
なお、新型コロナ関連による影響で家賃の支払いが難しい場合、下記目次から「住宅確保給付金」(2020年4月1日から年齢制限の撤廃、4月20日からはさらに支給対象者の拡大、4月30日からはハローワークへの求職申込が不要)をクリックしていただくとジャンプできますのでぜひご利用ください。
家賃が支払えない場合にすべきこと
退職や転職による収入減少や急な資金需要(結婚式など)、ショッピングにお金を使いすぎたなど、家賃を支払えなくなる原因はさまざまですが、いかなる理由があったとしても最初にすべき行動は大家または不動産管理会社への連絡です。
そのさい家賃が払えないことへの謝罪は当然のこととして①家賃を払えない理由②家賃を支払う意思と支払うことができる日、を大家等に伝える必要があります。
家賃を払えないと伝えることを申し訳ない気持ちから躊躇される方がいらっしゃいますが、そのままにしてしまうと滞納状態となり最悪の場合、法的手続き等による強制退去になる可能性があります。
こちら↓の記事で家賃の滞納状態が続いた場合の各種ケースを解説しています。

家賃を支払期日に払うことができない場合、たとえどんな事情(コロナ関連による影響等)でも大家等に連絡してください。なお、連絡先がわからない場合は賃貸借契約書に電話番号や住所の記載があるはずですので契約書をご覧ください。
家賃が払えない場合の対処法
家賃が払えない場合の対処法を3点紹介します。
大家や不動産管理会社と交渉する
家賃が払えない場合、大家や不動産管理会社に支払いができない旨の連絡をすることになりますが、あわせて家賃について「支払期日の延長」や「分割による支払い」または「家賃を下げてもらう」相談(交渉)をすることが家賃を支払えないときの対処法の一つになります。
この方法は家賃を支払えない原因がどんな理由であれ(例えば買い物でお金を使いすぎた等)活用することができますので住宅確保給付金等の要件に該当しない場合に検討するといいでしょう。
家賃の支払い期日延長や分割払いをお願いする場合は「○月○日までに支払う」や「○○円を○回にわけて○月○日までにすべての支払いが完了できる」等の明確な数字で支払日、分割回数を伝えることが大切です。
「できるだけ早めに払います」や「給料が入ったらすぐに払います」では大家等にとっては「ほんとに?」「いつ?」「給料が入らなかったら払わないつもりなのかな?」等の心配を抱かせてしまうので支払期日の延長等が上手くいかない可能性が高くなります。
また「家賃を下げてもらう」ですが家賃が払えないタイミングで交渉をすることはタイミングとしては微妙ではありますが、不可能ではありません。
交渉材料は賃貸物件の築年数の経過による物件価値の減少や周辺の賃料相場(入居タイミングによっては同じアパート・マンション内でも賃料が大きく異なるケースもある)の変動による適正賃料への改定等、材料はいくらでもありますが、今回は家賃が支払えないタイミングでの交渉ですので最低でもこれまでに家賃の不払いがないことや大家等との信頼関係が十分に存在することが必要でしょう。

相談の結果、家賃を下げてもらった場合はもちろん、支払期日の延長や分割払いを認めてもらえた場合なども、これは大家等の配慮によるものですので、約束した期日等にはきちんと家賃を支払いましょう。
住宅確保給付金
住宅確保給付金とは生活困窮者自立支援法に基づいて離職などによって家賃の支払いが困難となり住宅を失った方、または失うおそれのある方等でかつ一定の要件に該当する場合に支払いができない家賃相当額を3カ月間(最長9カ月間)、大家等の口座に代理して納付してくれる制度です。
支給対象の要件
2020年4月から新型コロナ関連による失業や収入の減少によって家賃の支払いが困難な状況となる方等のために制度の要件が一部緩和・拡充されましたので、その点も含めて下記記載していきます。
支給対象者の要件
・申請日において65歳未満であって、離職後2年以内の者
・離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
・ハローワークに求職の申し込みをしていること
・国の雇用施策による給付等を受けていないこと
厚生労働省:住宅確保給付金について(PDF参照)
上記以外にも収入要件や預貯金、現金等の資産要件等がありますが都道府県、市区町村で基準が異なりますのでお住まいの各自治体に確認が必要です。
※引用に使用した厚生労働省:住宅確保給付金についてのPDFファイル
2020年4月1日以降
・「申請日において65歳未満」という要件は撤廃されています
・ハローワークでの求職申し込み後の職業相談等の回数も各自治体が必要と認めた場合電話による相談や回数の緩和が可能となっています
・申請月の翌月以降に収入が基準額を下回る場合も対象となります(収入を下回ることを証明する資料が必要)
2020年4月20日以降
離職後2年以内の者に加えて、本人の責任によらない事由によって給与等が減少し離職や廃業まではしていないが家賃の支払いが困難になった者も対象になる
2020年4月30日以降
ハローワークへの求職申し込みが不要になる
申請から給付までの流れ
住宅確保給付金の申請から給付(大家等の口座への支払い)までの期間は書類等に不備がない場合で「およそ2週間」となっています。
下記、手続きの流れを記載します。
①自立相談支援機関に相談して申請書を提出
②自立相談支援機関から①の申請書を都道府県・市・区等に送付
③都道府県等から申請に対する決定通知書等を自立相談支援機関に送付
④申請者へ③の決定通知書等が送付される
この決定通知により大家等の口座へ家賃相当額が支給(代理納付)されます
※全国の自立相談支援機関の問い合わせ先はこちらになります。
なお、申請時の必要書類として本人確認書類(免許証など)、離職している場合は離職票等の離職を証明する書類、ハローワークから交付を受けた求職受付表、収入や預貯金額を証明する書類、印鑑が必要となります。

必要書類や申請方法でわからない点などは自立相談支援機関に確認すると教えてくれます。
緊急小口資金
新型コロナ関連の影響により休業や失業等で収入が減少して生活費等のねん出ができないなど緊急に資金が必要な場合には緊急小口資金の特例措置を利用する方法があります。
家賃の支払いが困難な場合の住宅確保給付金は申請から2週間程度期間がかかりますが、緊急小口資金は申請から資金交付まで1週間程度となっています。
お住まいの都道府県社会福祉協議会で受け付けており貸付限度額は10万円以内の必要額(学校の休業等による影響を受けている世帯の場合20万円以内)で無利子、連帯保証人不要で貸付を受けることができます。
なお、貸付金は本人が指定した銀行口座に振り込まれ、返済は1年以内の据置期間が設けられており返済期間は2年以内とされています。

新型コロナ関連ではなく利用する場合は、資金が緊急に必要な状態にある一定の低所得世帯等が対象となり貸付限度額は10万円以内、無利子、据置期間2カ月以内、返済期間12カ月以内となります。
都道府県別に検索できる全国社会福祉協議会のページリンクを掲載しておきます。
家族等に家賃を立替えてもらう
家賃の支払いについて大家等と交渉(相談)が上手くいかず支払期日の延長や分割ができなかった場合や、住宅確保給付金等の公的制度の要件にも該当しなかった場合は、いったん親や兄弟等の家族に家賃を立替えてもらうことを検討する必要があります。
「家賃が払えないから貸して」とは、なかなか頼みにくいお願いではありますが、家賃が払えない状態とは「預貯金等もない」ということですので、クレジットカードのキャッシング枠やカードローン、消費者金融等の利用はできるだけ避けるべきです。
なお、勤務先に資金の貸付制度がある場合はそちらを利用してもいいでしょう。
さいごに
この記事では家賃が払えない場合の対処法として3点紹介しました。
住宅確保給付金や緊急小口資金は新型コロナウイルスの影響による緩和措置はありますが、それでも一定の要件がありますので誰でも利用できる制度ではありません。
住宅確保給付金等の要件に該当する場合は利用することで難を乗り切ることが可能ですが、そうでない場合は大家等と交渉するか家族等に立替えてもらう(会社の福利厚生や貸付含む)などの対応が必要になります。
家賃を払えずに滞納状態となるのはすごくマズイことなのでできるだけ早めに対策をとるようにしましょう。