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有効求人倍率の計算方法と見方の注意点【令和3年10月は1.15倍】

有効求人倍率の計算方法と見方の注意点【令和3年10月は1.15倍】

こんにちは。

ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。

厚生労働省が11月30日に公表した2021年10月分の有効求人倍率は1.15倍でした。この数値は先月(2021年9月)と比べ0.01ポイントの低下となっております。

※厚生労働省「一般職業紹介状況令和3年10月分について」より数値を引用

へえ…(実は有効求人倍率って、何なのかよくわからないんだよなぁ…)

有効求人倍率は毎月公表されていますのでニュースや新聞等で耳にしたこと、目にしたことがある、という人が多いと思いますが「有効求人倍率」の仕組みをきちんと押さえている人は思いのほか少ないように感じます。

そこで、この記事では↓

・有効求人倍率とはそもそも何?

・どうやって算出してるの?

・数値の目安や過去の数値はどれくらい?

・有効求人倍率を参考にするときの注意点は?

こんな構成でお伝えします。

hana
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「有効求人倍率とは何なのか」をはっきり理解できるように仕組みや計算方法、過去数値の推移、見方の注意点を解説します!

有効求人倍率とは

有効求人倍率とは厚生労働省が一般職業紹介状況(職業安定業務統計)として毎月公表している有効求人数と有効求職者数の割合のことです。

景気の動きとあわせて数値が変動しやすいため一致指数として景気判断の指標に活用されています。

有効求人数とは公共職業安定所(ハローワーク)に登録されている、企業が実際に募集している求人数のことです。

有効求職者数とは公共職業安定所(ハローワーク)に登録している、仕事を探している求職者数のことです。

hana
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求人情報誌や求人情報サイトで仕事を探している人や求人を掲載している企業は含まれていませんので有効求人倍率をみるときはご注意ください。

有効求人倍率の計算方法

毎月○倍の数値で公表される有効求人倍率。例えば2021年10月は1.15倍でしたが、これは100人の求職者に対して115の求人があるということです。

有効求人倍率の計算式

有効求人数÷有効求職者数=有効求人倍率

仮に有効求人倍率が0.88倍であれば100人の求職者に対して88の求人数しかないことになりますので、求職者にとっては希望する仕事に巡り合えない可能性や失業期間が長引いてしまう懸念があります。

有効求人倍率が「1」を上回っているのか、下回っているのかは景況感を判断するうえで一つの目安になります。

「1」より大きくなるほど求人数(仕事の数)が多く、働き手が足りなくなります
「1」より小さくなるほど求職者(仕事をしたい人の数)が多く、仕事探しが難しくなります
引用:有効求人倍率とは?(マイナビ転職)

有効求人倍率が1を上回る場合

有効求人倍率が1を上回っている場合、転職を検討している人や現在仕事を探している求職者にとっては応募企業の選択肢が増えますので求職活動に有利に働きます。

一方、企業側の立場でみると、仕事を探している求職者よりも「人材を探している企業数」が上回っていることになりますので、思ったより応募者があつまらないといった事態が考えられます。

この有効求人倍率が「1」を上回っていることを、一般的に「売り手市場」といいます。

有効求人倍率が1を下回る場合

1を下回るとは求人数より求職者数が上回っている状態ですので、仕事を探している人にとっては不利な状況です。

企業側の立場でみると求人募集1に対して1人を超える応募がある可能性がありますので有利と考えられますが、実はそうとも言えません。

社会経済等に端を発した不況が発生した場合、企業は求人を控え、また従業員等のリストラを実行することがあります。

その結果、求職者数の増加と企業側の求人手控えで数値が1を下回っている場合、現在求人をハローワークに登録している企業も今後の景気動向を慎重に見定めながら雇用を検討しなければなりません。そのため応募者数の増加を素直に喜べない一面があります。

なお、有効求人倍率が「1」を下回っていることを、一般的に「買い手市場」といいます。

有効求人倍率の推移

有効求人倍率の推移

参考画像:一般職業紹介状況(厚生労働省)

厚生労働省が公表している季節調整済有効求人倍率では1963年(昭和38年)から現在に至るまでの数値(月別と年度平均)を確認することができます。

※季節調整とは年度ごとの季節(時期)によって発生する求人数の隔たり(ムラ)を年間を通して平準化した数値にする仕組みのことです。

これまでの有効求人倍率(年間平均値)を確認すると就職氷河期といわれる時期に相当する1993年(平成5年)から2005年(平成17年)は1倍を下回って推移していました。

また、リーマンショック発生後の2009年(平成21年)は0.45倍と公表されていますので、単純計算で100人の求職者に対して求人数は45しかない状態だったことになります。ちなみに1963年からの年間平均値で最も低い数値です。

2018年は1.62倍でしたが、実はこの数値が1963年から現在(2021年10月)までで最も高い有効求人倍率となっています。

参考資料:厚生労働省(一般職業紹介状況について)

有効求人倍率を参考にするときの注意点

ニュース等で報じられる有効求人倍率はあくまでも全体の平均値であるケースがほとんどですので日本全体でみた景況感を判断する場合は有効ですが、求職活動の参考にする場合は注意が必要です。

求職活動においては就職を希望している地域(都道府県)や希望業種の求人状況に注視する必要がありますので、有効求人倍率を確認するときは「都道府県・地域別」と「業種別」の数値に注目して確認するようにしましょう。

新規求人倍率とは

有効求人倍率とあわせて新規求人倍率も公表されています。

新規求人倍率とは調査対象月(当月の1カ月間)に新しく公共職業安定所(ハローワーク)に登録された新規求人数と新規求職者数(申込件数)の割合のことです。

新規求人倍率の計算式

当月の新規求人数÷当月の新規求職者数(申込件数)=新規求人倍率

hana
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有効求人倍率は当月の新規分と前月までの分を含めた倍率ですので、その点が新規求人倍率と異なります。

さいごに

今回は有効求人倍率について仕組みや計算方法、数値の推移等について説明しました。

最後にお伝えしたいのは、有効求人倍率は「あくまでも公共職業安定所に登録されている求人数と求職者数の割合にすぎない」ということです。

求人情報誌やインターネット求人等の件数は含まれていないため実情を反映しているとは言い難い数値ですので参考にするさいは、そのことを考慮して検討しましょう。

この記事が求職活動や経済・景気の判断時の参考になれば幸いです。

hana
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有効求人倍率とあわせて押さえておきたい「完全失業率」の解説記事です。ぜひご参照ください。