こんにちは。
ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
この記事では↓
証券投資のリスクを調べてたら「分散」「標準偏差」というワードがでてきたけどさっぱりわかりません。計算方法に√(ルート)が入っていてお手上げ状態です…
こんな悩みを解決します。
分散および標準偏差とは
証券投資におけるリスクとは一般的に収益の不確実性を指してリスクという表現が使われています。
収益の不確実性とは言い換えるとリターンのばらつき度合いのことですが、例えば100円の証券に投資した場合、収益のブレがプラスマイナス5円(95円~105円)で推移する証券よりもプラスマイナス50円(50円~150円)で動く証券のほうがリスクが高いと判断されます。
このリターンのばらつき度合い(リスク)を測る尺度として「分散」「標準偏差」がもちいられています。
標準偏差(ひょうじゅんへんさ)とは、データや確率変数の、平均値からの散らばり具合(ばらつき)を表す指標の一つ
引用:標準偏差(Wikipedia)
分散も標準偏差もリスクを測る尺度ですが、計算は分散を先に求める必要があります。理由は標準偏差は分散の数値をもとに計算するからです。
分散および標準偏差の計算方法
証券投資における「分散」を求めるには証券の「期待収益率」「予想収益率」「生起確率」の3つの要素が必要です。
3つの要素から分散を求めたのち標準偏差を計算します。
これより下記条件における分散および標準偏差の計算例を紹介します。
証券の予想収益率と生起確率
好況:予想収益率20%、生起確率30%
普通:予想収益率6%、生起確率40%
不況:予想収益率-10%、生起確率30%
①期待収益率を求める
まずは好況、普通、不況の各ケースの予想収益率と生起確率(好況や不況等が起きる確率)から期待収益率を計算します。
20%×0.3+6%×0.4+(-10%)×0.3=5.4%
計算の結果、証券の期待収益率は5.4%となりました。
②分散を求める
①で求めた期待収益率と予想収益率、生起確率から分散を計算します。
分散の計算式
(好況時の予想収益率-期待収益率)²×(好況となる生起確率)+(普通時の予想収益率-期待収益率)²×(普通となる生起確率)+(不況時の予想収益率-期待収益率)²×(不況となる生起確率)=分散
上記の計算式に数値をあてはめると…
(20%-5.4%)²×0.3+(6%-5.4%)²×0.4+(-10%-5.4%)²×0.3
=63.948+0.144+71.148
=135.24
計算の結果、証券の分散は135.24となりました。
③標準偏差を求める
分散の数値から標準偏差を計算します。
標準偏差の計算式
√分散=標準偏差
上記の計算式に数値をあてはめると…
√135.24=11.63%
※小数点第三位を四捨五入
計算の結果、証券の標準偏差は11.63%となりました。
なお、√(ルート)の計算は先に数値を入力してから電卓のルートボタンを押します。
電卓にルートボタンがない場合、気合で計算するのは割に合わないので、ルート付き電卓を購入するかアイフォンやスマホの電卓アプリを使うといいでしょう。
確率でみるリターンのばらつき度合い
収益の不確実性であるリターンのばらつき度合いは確率論や統計学でもちいられる正規分布に従うという前提で考えるとある程度ですが確率的に把握することができます。
確率的に把握するには「期待収益率」と「標準偏差」をもちいて計算します。
リターンのばらつき度合い(確率)
①期待収益率±1標準偏差の範囲内に約68%の確率で将来の収益(リターン)が収まります
②期待収益率±2標準偏差の範囲内に約95%の確率で将来の収益(リターン)が収まります
例えば先ほど計算した証券の期待収益率は5.4%、標準偏差は11.63%でしたので将来のリターンの範囲を計算すると…
①5.4%+11.63%~5.4%-11.63%=17.03%~-6.23%の範囲に約68%の確率で収まります
②5.4%+2×11.63%~5.4%-2×11.63%=28.66%~-17.86%の範囲に約95%の確率で収まります
計算例の証券に投資する場合、最悪の場合-17.86%の損失がでる可能性を考えて投資の可否を判断するといいでしょう。
<勉強になる動画>
分散と標準偏差【統計学の基礎】
さいごに
今回は分散と標準偏差について、その意味や計算方法を解説しました。
実際に個人投資家の方で分散や標準偏差をもちいて証券投資の可否を検討する方は私の知る限りですがほとんどいません(ほとんどというよりゼロです)
だからこそ分散や標準偏差というリターンのばらつき度合い(収益が収まる確率)を知っていることが一つのアドバンテージになる可能性もありますので覚えておいて損はないと思います。
2資産間でのリターンのばらつき度合い(リスク)の関連性を測る尺度「共分散」については、以下の解説も参考にしてください。