こんにちは。
ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
この記事では↓
ポートフォリオのパフォーマンスを調べようと思ったら「CAPM(資本資産評価モデル)」「シャープの測度」「トレイナーの測度」「ジェンセンの測度」「インフォメーション・レシオ」と次から次に意味不明なワードがでてきて困っています…助けてください。
こんな悩みを解決します。
CAPM(資本資産評価モデル)とは
CAPM(資本資産評価モデル)とは預貯金や国債の利息等の無リスク資産利子率と市場の期待収益率とβ(ベータ)をもとに資産の期待収益率を算出する評価モデルのことです。
CAPMとは「Capital Asset Pricing Model」の頭文字をとったもので呼び方は一般的にキャップエムと呼ばれています。
CAPMとは大量の株式からなる市場をベンチマークして個々の株式のリスクやリターンの関係を明確に示す事に役に立ちます。
引用:CAPMの概要とメリット
CAPM(資本資産評価モデル)の計算式
無リスク資産利子率+β×(市場の期待収益率-無リスク資産利子率)=資産の期待収益率
※β(ベータ)とは資産の市場全体に対する感応度を示す値のことです。
※無リスク資産利子率は「安全資産利子率」「安全資産リターン」「リスクフリーレート」と呼ばれることがあります。
※(市場の期待収益率-無リスク資産利子率)は「市場リスクプレミアム」「マーケットリスクプレミアム」と呼ばれることがあります。
各構成要素の呼び方はさまざまですが内容は同じです。なお、無リスク資産利子率は一般的に10年物の長期国債利回りが使われる場合が多いです。
CAPM(資本資産評価モデル)の計算例:長期国債の利回りが1.5%、市場の期待収益率が5%、βが1.5の場合
1.5%+1.5×(5%-1.5%)=6.75%
計算の結果、資産の期待収益率は6.75%であるとわかりました。
シャープの測度(シャープ・レシオ)
シャープの測度(シャープ・レシオ)とはポートフォリオの標準偏差に占める(ポートフォリオの収益率-無リスク資産利子率)の割合を測るものです。
シャープの測度(シャープ・レシオ)の計算式
(ポートフォリオの収益率-無リスク資産利子率)÷ポートフォリオの標準偏差=シャープの測度(シャープ・レシオ)
シャープの測度(シャープ・レシオ)を計算することで標準偏差によるリスク1単位あたりの超過収益率を把握することができます。
数値は高ければ高いほど効率的な運用ができていたと判断することができ種類の異なるポートフォリオ間でのパフォーマンス分析(比較)にも利用することができます。
なお、計算式のポートフォリオの部分をファンドに置き換えて計算すると投資信託等のファンド評価を行うことも可能です。
トレイナーの測度(トレイナー・レシオ)
トレイナーの測度(トレイナー・レシオ)とはポートフォリオのβ(ベータ)に占める(ポートフォリオの収益率-無リスク資産利子率)の割合を測るものです。
トレイナーの測度(トレイナー・レシオ)の計算式
(ポートフォリオの収益率-無リスク資産利子率)÷ポートフォリオのβ(ベータ)=トレイナーの測度(トレイナー・レシオ)
トレイナーの測度(トレイナー・レシオ)を計算することでβ(ベータ)によるリスク1単位あたりの超過収益率を把握することができ数値が高いほど運用効率が良いと判断されます。
ジェンセンの測度(ジェンセンのα)
ジェンセンの測度(ジェンセンのα(アルファ))とはポートフォリオの収益率からCAPMによる収益率を差し引いた値のことで、CAPMで計算された収益率を上回る超過収益率を把握することができます。
ジェンセンの測度(ジェンセンのα)の計算式
ポートフォリオの収益率-CAPMによる収益率=ジェンセンの測度(ジェンセンのα)
ジェンセンの測度(ジェンセンのα)で求める数値は高ければ高いほど運用効率が良いと判断されます。
インフォメーション・レシオ
インフォメーション・レシオとは主にアクティブ運用による投資信託の運用成績やファンドマネージャーの評価に用いられる尺度です。
インフォメーション・レシオの計算式
(ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率)÷トラッキングエラー=インフォメーション・レシオ
※ベンチマークとは運用成績を測る基準となるもので、例えば日本株で運用するファンドの場合ベンチマークに日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)がよくもちいられます。
※(ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率)をアクティブリターンといいます。
※トラッキングエラーとはアクティブリターンの標準偏差のことです。
インフォメーション・レシオの数値も高ければ高いほどリスクを加味した超過リターンがあるということですので運用効率が良いと判断されます。
<勉強になる動画>
CAPMの概要、CAPMで株主資本コストを算定することの限界と向き合い方について分かりやすく解説!
さいごに
今回はCAPM(資本資産評価モデル)の計算方法とポートフォリオやファンドのパフォーマンス評価に使われるシャープの測度、トレイナーの測度、ジェンセンの測度、インフォメーション・レシオの計算式を説明しました。
個人の資産運用においてはアナリストなどの評価の専門家でもないかぎり、シャープの測度やましてやジェンセンのαなど、まず使うことはありませんが、こういう評価尺度があるということやその計算方法を知っていることが他の投資家より一歩抜きんでるキッカケになることもありますので知っておいて損はないです。
また評価尺度を使いこなすことで資産運用の幅、効率があがる場合もありますのでぜひご検討ください。
その他の、ファンダメンタル分析に役立つ計算式については以下の記事でまとめています。