こんにちは。ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
この記事では妊娠出産でもらえるお金の一つ「育児休業給付金」をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
・育児休業給付金をもらえる人の要件
・いつから、いつまでもらえるのか(支給期間)
・いくらもらえるのか(給付額の計算方法)
・もらい方(申請方法)
育児休業給付金は雇用形態や育休中の給与額によってはもらえない場合もありますので、そういった注意点も含めて解説します!
育児休業給付金とは
育児休業は「育児・介護休業法」によって1歳未満の子を養育する従業員に取得が認められている権利です。
1歳未満の子には実子はもちろん、養子も含まれ、原則として1カ月前までに勤め先に申請することで育児休業を取得できます。(女性だけでなく男性も取得できる)
ただ、育児休業期間中の給与までは保証されていません。
そこで加入している雇用保険から給付されるのが「育児休業給付金」です。
育児休業給付金をもらうための要件
育児休業給付金は雇用保険から給付されるものです。
そのため給付金をもらうには雇用保険に加入している必要があります。
そのうえで正社員など雇用期間の定めがない人には3つ、派遣勤務など雇用期間の定めがある人には5つ満たさなければならない要件があります。
育児休業給付金は育児休業後の職場復帰を前提とした給付金ですので、育休当初から退職することが決まっている(予定されている)場合は支給されません。
雇用期間の定めに関係なく満たさなければならない3つの要件
下記3つの要件は正社員やパート、アルバイト、派遣社員、契約社員の別に関係なく満たす必要があります。
①育児休業開始日前2年間の被保険者期間が12カ月以上あること(勤務日数11日以上の月が対象)
ポイント:通算で12カ月以上あればOKのため一時的に空白期間がある場合や転職している場合でも要件を満たせば受給できる(※以前の職場での加入期間を通算可能、ただし失業保険等の受給資格の決定を受けている場合は通算できない)
※育児休業開始日前2年間に第1子の育児休業期間や疾病による休業期間がある場合などは2年よりもさかのぼって通算可能な救済措置があります
②育児休業中に給与が支払われている場合は休業開始時賃金日額×支給日数の80%未満であること
ポイント:80%以上の場合は育児休業給付金は支給されず、13%~80%未満の場合は給与額に応じて減額される
③育児休業中に働いている場合は月の就業日数が10日以下であること
ポイント:月の就業日数が10日を超える場合でも就労している時間が80時間以下であれば受給できる
雇用期間の定めがある有期契約で働いている場合
派遣勤務や契約社員など雇用期間の定めがある有期契約で働いている場合、前述した3つの要件に加えて下記2つの要件も満たす必要があります。
①同一の事業主に1年以上雇用されていること
②子が1歳6カ月になるまでの間に労働契約が更新されないことが明らかでないこと
育児休業給付金の支給開始日
育児休業給付金が「いつから」もらえるのかは女性(母親)か男性(父親)かで異なります。
女性が給付を受ける場合:出産日から起算して58日目からとなります。
女性の場合、出産による産後休業の期間(出産日の翌日以後56日目まで)がありますので「出産日(1日)+産後休業(56日)=57日」の翌日(58日目)から支給されます。
男性が給付を受ける場合:出産日当日から支給されます。
育児休業給付金はいつまでもらえるのか
「いつまで」もらえるのか(支給期間の終了日)は女性(母親)と男性(父親)で違いはなく、原則として子が1歳になるまでです。
※○歳になるとは誕生日前日のこと
母親、父親ともに育児休業を取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」という制度を利用することで子が1歳2カ月になるまで延長することができます。
また、保育所への申込みをしているが入所できなかった場合や母親や父親に病気、ケガ、死亡、または離婚による別居などの事情が生じた場合は育児休業期間を子が1歳6カ月になるまで、さらに同様の事情がある場合は子が2歳になるまでの計2回延長することができます。
育児休業給付金の給付額
1カ月あたりの給付額は「休業開始時賃金日額×支給日数(原則として30日)×67%(6カ月経過後は50%)」です。
かなりわかりづらい計算式ですが、休業開始時賃金日額とは育児休業開始前6か月間の税金や社会保険料を控除する前の総支給額を180で除した金額のことで、職場の事業主が提出する「休業開始時賃金月額証明書」をもとに計算されます。
育児休業給付金の金額をある程度把握されたい場合は休業前6か月間の給料をもとに計算されるといいかもしれません。
例えば6か月間の平均給料が月20万円であれば
育児休業開始~6カ月まで
20万円×0.67=13万4,000円
6カ月経過後
20万円×0.5=10万円
となります。
※育児休業給付金の支給額には上限が設けられています。参考までに令和3年7月31日までの上限額は支給日数180日(6カ月)までが月あたり30万5721円、それ以降は月あたり22万8150円となっています。(上限に変更がある場合は毎年8月1日に更新)
育児休業給付金は毎月支給されるものではなく、2か月分がまとめて振り込まれます!(※2カ月ごとの支給でその都度追加申請が必要)
育児休業給付金の申請方法
育児休業給付金は一般的に事業主を経由して申請しますので、事業主の求めに応じて母子手帳のコピーなど必要なものを準備する必要があります。
※事業主を経由した申請が困難な場合や、自ら申請手続きを希望する場合は本人がハローワークで申請することも可能です。
育児休業給付金は初回申請後も2カ月ごとの追加申請が必要になります。事業主を経由して申請書が送られてきますので、内容確認後、必要箇所への記入、捺印をして事業主に送り返しましょう。
育児休業給付金は課税されず、育児休業中の社会保険料(厚生年金、健康保険)も本人・事業主分ともに免除されます。
子の養育にあたって有益な制度ですので、ぜひ活用しましょう!