こんにちは。ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
住宅ローンの借り換えとは現在契約中の住宅ローンをもっと金利の低い別の住宅ローンに変更することです。
毎月の返済額を減らしたり、返済期間を短くしたりできますので家計の節約にも嬉しい効果があります。
ただ、借り換えは住宅ローンの借入状況や借り換えで発生する諸費用、健康状態などによっては余計に負担が大きくなってしまう可能性もあります。
そこでこの記事では住宅ローンの借り換えを検討するさいの重要な4つのポイントをわかりやすく解説します!
金利タイプの違い(3種類)
住宅ローンの借り換えは一般的に「借入残高1,000万円以上」「残りの返済期間10年以上」「借り換え後の金利差1%以上」の3つの条件すべてに該当すれば借り換えメリットが高いといわれています。
このうち借り換えにあたりコントロールできるのは金利だけですので、借り換え後の住宅ローン金利が何%なのかはとても重要です。
ですが単純に金利のパーセンテージだけでは判断できません。
住宅ローンの金利には3種類あり、それぞれ特徴が異なるからです。
変動金利型
変動金利型は3種類の金利でもっとも低い金利に設定されていることがほとんどですが、市中金利(短期プライムレート)によって半年ごと(4月と10月)に見直されますので将来の金利上昇リスクがあります。
「えっ!半年ごとに金利が変わるの?」と思われたかもしれませんが、金利変更に伴う返済額の見直しは5年に1回です。また返済額が増加する場合、従来の返済額の1.25倍までと上限も設定されています。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型は借り入れから一定期間(2年、5年、10年など取扱い金融機関ごとに複数用意されている)の金利を固定して、一定期間経過後に変動金利が適用されたり、再度固定金利を選択できたりするタイプです。
例えば5年固定金利型であれば、当初5年間は固定金利が適用され、以降は変動金利または固定金利を再度選択するといった具合です。(取扱い金融機関で対応が異なる場合あり)
固定金利期間が長いほど金利が高くなりますので、短い固定金利期間のほうが金利面では有利ですが、そのぶん将来の金利上昇リスクは高くなります。
固定金利型
固定金利型は借り入れから返済完了までの全期間を通して金利が固定されているタイプです。
将来の金利上昇リスクの不安がなく返済額も決まっているため家計管理がしやすいメリットがありますが、3種類の金利タイプのなかでもっとも高い金利となります。
なお、金利が2段階以上に設定されている段階金利型もあります。
住宅ローン利用者の選択金利はどれが多い?
2021年1月26日に住宅金融支援機構が公表した「住宅ローン利用者の実態調査」によると変動金利型を選んでいる人の割合は62.9%、固定期間選択型は24.5%、固定金利型(全期間固定)は12.6%となっています。
※調査対象期間2020年4月~2020年9月
借り換えには諸費用がかかる
借り換えは100万円以上1億円以下(取扱金融機関で異なる)など多額の資金を借り入れることができ、リフォームを検討中であれば、その費用も借り換えにあわせることでリフォームローンより低金利で資金を確保できるケースもあるなどメリットも多いですが利用には諸費用がかかります。
借り換えで発生する諸費用
・事務手数料
・繰上返済手数料
・保証料
・抵当権抹消費用
・抵当権設定費用
・司法書士報酬
・その他費用
金融機関によって諸費用の取扱いが異なりますし、利用する借り換えの条件によっても違いますので一概にはいえませんが一般的に30万円~70万円程度かかることが多いです。
諸費用も含めて借り換えをすることもできますが、そのぶん返済額の負担は増しますので慎重に検討する必要があります。
借り換え後の返済方法
借り換え後の返済方法は返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法と、返済額は変えずに返済期間を短くする方法があります。
一部の金融機関では返済期間を延ばすことも可能です。
ただし返済期間の上限は現在契約中の住宅ローンと通算して35年以内となります。
返済期間を短くすることで金利負担を軽減することができますが、借り換えの結果住宅ローンの返済期間が10年未満になってしまうと以降は住宅借入金等特別控除の適用が受けられなくなりますのでご注意ください。
借り換えには審査がある
住宅ローンの借り換えには審査があります。
ほとんどの取扱金融機関で①仮審査(事前審査)が行われ②本審査となり③借り換えにかかる契約締結後、実行となります。
審査のおもなポイントは「物件」「年齢」「年収」「健康状態」「信用情報(他社借入状況)」です。
物件の審査
物件の価値は年月を経ることで減少していくことがほとんどですので、借り換え時に物件の担保価値が審査されます。
借り換え審査の特徴として担保価値は中古物件のため落ちますが、融資率(担保価値に対してお金を貸せる割合)は新規借入時よりも高く設定している金融機関が多いです。
そのため価値が落ちている物件でも問題なく借り換えできるケースがあります。
年齢の審査
申込時の年齢は満20歳以上70歳未満、完済時年齢は満80歳までなど金融機関でも取扱いが少々異なりますが、年齢が申込上限に近くなるほど審査が厳しくなる傾向があります。
年収の基準
年収の基準は前年度年収で100万円以上や200万円以上などの設定が各金融機関であります。
申告のさいは前年度年収を証明する源泉徴収票や確定申告書等が必要になりますので用意しておきましょう。
年収が減った場合などは返済負担率(年収に対する返済額の割合)の関係で借り換え額が減額される可能性があります。
勤続年数についても給与所得者の場合は1年以上、それ以外の場合は3年以上などの要件が設定されているケースがありますので利用予定金融機関のホームページなどで確認しておきましょう。
健康状態の審査
健康状態の審査はおもに団体信用生命保険(団信)に加入できるかどうかがみられます。
なお、借り換えのタイミングで団信を見直すこともできます。
近年の団信には死亡・高度障害以外でも、例えばガンと診断された場合や生活習慣病により所定の条件に該当した場合にも住宅ローンの返済が免除されるタイプがありますので検討の余地は大きいです。
ただし住宅ローンの残債が免除される条件が緩いものや、持病があっても加入できる(可能性がある)ワイド団信などは上乗せされる金利も高くなりますので兼ね合いも大事です。
信用情報の審査
信用情報の審査は現在利用中の住宅ローン返済状況だけでなく、それ以外の自動車ローンや教育ローンなどにも及んで審査されます。
もし何らかのローンを検討されている場合は借り換え後にするなどの対策も必要かもしれません。
借り換え先選びはわりと難しいです
この記事では住宅ローンの借り換えで失敗しないための4つのポイント「金利タイプの違い」「諸費用」「借り換え後の返済方法」「借り換え審査」についてお伝えしました。
借り換えは諸費用も含めた総返済額で判断することや今の家計状況だけでなく将来のライフプランまで視野に入れた返済計画が大切です。
そのうえでもっともお得な借り換え先を選ぶためには住宅ローンの専門家に相談することをおすすめします。
理由は2つです。
1つ目:借り換えを取り扱っている金融機関の数が多すぎるため一人で調べるのは限界があること(もっとお得な借り換え先があったことに借り換え後に気づくとショックが大きいです)
2つ目:金融機関に直接相談すると自社商品を良いようにいう(※絶対に悪くはいわない)可能性大ですので正しい判断が難しいこと
専門家への相談には有料相談と無料相談がありますが、無料相談の場合はリクルートグループが運営しているFP相談がおすすめです。
中立的な立場のFPが将来のライフプランまで総合的にみて借り換えの是非をアドバイスしてくれます。パソコンやスマホを使ったオンライン相談も可能ですので、住宅ローン見直しの第一歩に活用しやすいサービスです。
この記事がベストな借り換えのお役に立てば幸いです!