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株式や土地建物の譲渡所得の対象範囲と計算方法【FP講座】

株式や土地建物の譲渡所得の対象範囲と計算方法【FP講座】

こんにちは。

1級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)のhanaです。

今回のFP2級、FP3級資格講座は譲渡所得について説明します。

土地・建物の譲渡、株式等の譲渡、その他資産の譲渡で取扱いが異なりますので、違いを意識して押さえていきましょう。

譲渡所得の対象

譲渡所得とは、土地・建物、株式等、金地金、宝石、ゴルフ会員権などの資産を譲渡した場合の所得のことです。

事業用の商品などの棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にはなりません。
引用:譲渡所得(国税庁)

hana
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家具や衣服などの生活用動産は課税されません。

譲渡所得の税制

譲渡所得には総合課税の対象になるもの、分離課税の対象となるもの、があります。

さらに分離課税は、土地・建物の譲渡と株式等の譲渡では取扱いが異なります。

総合課税の場合

金地金や宝石、ゴルフ会員権等の譲渡は総合課税の対象となります。

総合課税の対象の場合、譲渡所得に損失(赤字)があれば、他の所得から差し引く損益通算をすることができます。

※ただし、1個または1組の価格が30万円を超える貴金属や絵画等の譲渡損失は損益通算できません。

hana
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なお、損益通算ができる所得は、不動産所得事業所得山林所得譲渡所得の4つの所得のみですので、あわせて覚えておいてください。

所有期間による区分

譲渡所得の計算にあたっては、譲渡資産の所有期間で区分されます。

①短期譲渡所得

譲渡資産の所有期間が5年以下

②長期譲渡所得

譲渡資産の所有期間が5年を超える

総合課税の対象になる金額

譲渡所得の計算式

総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(50万円)=譲渡所得金額

総収入金額は売却代金のこと、取得費は売却資産の購入費、譲渡費用は資産売却時の手数料など、が該当します。

特別控除額の50万円は差し引く順番が決まっており、まずは短期譲渡所得から控除します。

hana
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複数の資産を売却したことで、短期譲渡、長期譲渡の対象が複数ある場合でも、特別控除額は50万円が限度です。

譲渡所得金額の計算をしたら、短期譲渡所得はそのままの金額を、長期譲渡所得は、その金額を2分の1にした金額が総合課税の対象となります。

株式等の譲渡の場合

上場株式等を譲渡した場合は申告分離課税の対象となります。

申告分離課税制度には、以下のような例があります。

申告分離課税制度となっている例
山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等に係る利子所得および一定の先物取引による雑所得等
引用:申告分離課税制度(国税庁)

譲渡所得の計算、税率

譲渡所得の計算式

総収入金額-(取得費+譲渡費用+負債利子)=譲渡所得金額

税率は所得税15%、住民税5%の計20%です。

※復興特別所得税も含めると所得税は15.315%となります。

特定口座を利用している場合

特定口座とは、1つの金融機関(証券会社)につき、1人1口座だけ開設することができるもので、株式等の売買の損益計算を証券会社が行ってくれる仕組みです。

損益計算後、納税まで行ってくれる源泉徴収あり、と、納税は投資家自身が行う源泉徴収なし、から選択することができます。

源泉徴収あり(源泉徴収選択口座)の場合は、その時点で課税関係は完了するので、申告する必要はありません。

株式等の譲渡に損失がある場合

上場株式等を譲渡したことによって損失が発生した場合、翌年以降3年間にわたって、株式等の譲渡益から控除することができます。

これを、上場株式等の譲渡損失の繰越控除といい、適用を受けるには毎年確定申告をする必要があります。

土地・建物等の譲渡の場合

土地・建物等の譲渡は申告分離課税の対象となります。

土地・建物等の所有期間による区分

①短期譲渡所得

譲渡した年の1月1日時点において、所有期間が5年以下の場合

②長期譲渡所得

譲渡した年の1月1日時点において、所有期間が5年を超える場合

所有期間による区分で税率が異なります。

短期譲渡所得の場合、所得税30%・住民税9%の合計39%となります。

※復興特別所得税も含めると、合計39.63%になります。

長期譲渡所得の場合、所得税15%・住民税5%の合計20%となります。

※ 復興特別所得税も含めると、合計20.315%になります。

土地・建物等の譲渡所得の金額

譲渡所得の計算式

総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得金額

※特別控除額には、3,000万円特別控除や5,000万円特別控除など、要件を満たすことで適用される控除が複数あります。

なお、計算にあたり取得費には注意が必要です。

取得費がわからない場合実際の取得費が売却で得た収入金額の5%より低い場合収入金額の5%を概算取得費として計算することができます。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例については、以下の記事で解説しています。

さいごに

今回はファイナンシャルプランナー2級、3級試験範囲から、譲渡所得について説明しました。

総合課税の対象となる譲渡所得、土地・建物等の場合、株式等の場合で取扱いが異なりますので、要点をしっかり押さえてFP試験にのぞみましょう。

タックスプランニングの履修に必須な、所得税の計算方法については以下の記事で解説しています。参考にしてください。