こんにちは。
ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。
今回のFP2級、3級資格講座は、10種類の所得から給与所得と退職所得について説明します。
給与所得とは
給与所得の対象は、会社等から給与、賞与、役員報酬など金銭により受け取る所得と、現物支給(無償または低い価格)、債務(例:借金)を免除された利益など金銭以外の経済的利益も対象となります。
給与所得の金額
給与所得の金額は、金銭以外の経済的利益も含めた収入金額から給与所得控除額を差し引いた額です。
給与収入金額-給与所得控除額=給与所得
給与所得控除額
給与所得控除額は最低でも65万円が控除できる仕組みとなっており、収入金額に応じて段階別に設定されています。
※2020年度の所得分から給与所得控除額が変更されています。(最低控除額55万円、最大控除額195万円)
2019年の所得に対する給与所得控除額
給与の収入金額:180万円以下
控除額:収入金額×40%
※控除額が65万円に満たない場合は65万円を控除 (給与収入が65万円以下であれば給与所得は0になります)
給与の収入金額:180万円を超え360万円以下
控除額:収入金額×30%+18万円
給与の収入金額:360万円を超え660万円以下
控除額:収入金額×20%+54万円
給与の収入金額:660万円を超え1,000万円以下
控除額:収入金額×10%+120万円
給与の収入金額:1,000円を超える場合
控除額:220万円
収入金額が1,000万1円からは一律220万円の控除ですので、仮に年収が、5,000万円でも1億円でも控除額は220万円です。
※2020年度の所得に対する給与所得控除額
給与収入金額180万円以下
控除額:収入金額×40%-10万円(55万円に満たない場合は55万円)
給与収入金額180万円超え360万円以下
控除額:収入金額×30%+8万円
給与収入金額360万円超え660万円以下
控除額:収入金額×20%+44万円
給与収入金額660万円超え850万円以下
控除額:収入金額×10%+110万円
給与収入金額850万円超え
控除額:195万円
給与所得の税制
給与所得は総合課税の対象ですので、原則として他の所得と合算して申告・納税をする確定申告が必要となります。
ただし、会社員などで給与所得以外の所得がない場合は、毎月の給与からの源泉徴収と年末調整で課税関係を完了させることができます。この場合は確定申告をする必要はありません。
ですが、下記に該当する場合は確定申告が必要となります。
・年間の給与収入が2,000万円を超える場合
・給与所得、退職所得以外の他の所得金額が20万円を超える場合
・配当控除や医療費控除の適用を受ける場合
・副業や掛け持ちなど、2カ所以上から給与の支払いを受けている場合
「収入」と「所得」の違いについては、以下の記事でくわしく解説しています。
退職所得とは
退職所得の対象は、従業員や役員の退職にともない支給される退職金、役員退職金、企業年金等の退職一時金などが該当します。
退職所得の金額
退職所得の金額は、支給された退職金から退職所得控除額を差し引いた額を2分の1にした金額です。
(退職金-退職所得控除額)×2分の1=退職所得
退職所得控除額は勤続年数により2パターンあります。
①勤続年数が20年以下の場合
控除額:40万円×勤続年数
※控除額が80万円に満たない場合は80万円が控除されます
②勤続年数が20年を超える場合
控除額:(勤続年数-20年)×70万円+800万円
勤続年数に1年未満の端数が出る場合は、きりあげて1年として計算します。
退職所得の税制
退職所得は他の所得とは合算されず、分離課税として課税されます。
退職金の支払いを受けるまでに『退職所得の受給に関する申告書』を提出している場合は、退職金支給時に課税関係を完了できるので、確定申告は不要です。
退職所得の計算式については、国税庁のホームページでも確認できます。
<分かりやすい解説動画>
FP3級本格講座27-給与所得と退職所得
さいごに
今回はファイナンシャルプランナー2級、3級試験範囲から、給与所得と退職所得について、対象となる収入、控除額、税制について説明させていただきました。
給与所得控除には最低65万円、退職所得控除には最低80万円の控除額があること、退職所得の計算は最後に2分の1をかけること、など見落としやすいポイントですので、試験のさいは注意しましょう。
所得税の計算方法については、以下の記事をご覧ください。