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LIBORの意味や仕組みをわかりやすく解説【事例を交えて説明】

LIBORの意味や仕組みをわかりやすく解説【事例を交えて説明】

こんにちは。

ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)のhanaです。

この記事では↓

・LIBOR(ライボー)とはそもそも何?

・円LIBORのユーロ円とは?

・LIBORとLIBIDはどう違うの?

・なんでLIBORが基準金利なの?

・LIBORはどんな取引につかわれるの?

・TIBORとはどう違うの?

といったLIBORの基本的な部分の疑問を解決するためにLIBORの意味や仕組みをわかりやすく解説します。

※この記事はLIBORの基本的な内容の解説ですので2021年末をもっての公表停止措置(可能性)にかかる事項については詳しく掲載しておりません。

金融庁(LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応について)

一般社団法人全国銀行協会(LIBOR特設ページ)

現在、取引等にLIBORを利用しているなど今後の対策が必要な場合や公表停止措置(可能性)の詳細な原因を把握したい場合は金融庁や一般社団法人全国銀行協会のホームページ等でご確認くださいますようお願いします。

LIBORとは

LIBOR(ライボー)とはロンドン市場の銀行間で取引される平均貸出金利のことです。

言いかえるとA銀行がB銀行に対してお金を貸し付けるときの金利がLIBORです。

LIBORとはLondon Interbank Offered Rateの略でアメリカ合衆国のインターコンチネンタル取引所(ICE)が算出し公表しています。

※正確にはインターコンチネンタル取引所傘下のICEベンチマーク・アドミニストレーションです。

hana
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なぜ「ロンドンインターバンク」なのにアメリカのICEが公表しているのかと言いますと…

以前は英国銀行協会(BBA)が算出し公表していましたが、不正操作取引が発覚したためLIBORの信頼性向上等を目的に2014年2月からインターコンチネンタル取引所が引き継いで公表を行うようになりました。

hana
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これにともない以前は「BBA LIBOR」と呼ばれていましたが「ICE LIBOR」と呼ばれるようになりました。

LIBORの対象通貨と期間

LIBORはインターコンチネンタル取引所によって毎営業日11:00時点のレートが11:45分頃に公表されます。

対象通貨

①米ドル

②日本円

③ユーロ

④イギリスポンド

⑤スイスフラン

対象期間

①翌日物

※1日だけの資金の貸出にともなう金利

②1週間物

③1カ月物

④2カ月物

⑤3カ月物

⑥6カ月物

⑦12カ月物

最長で12カ月の金利ということからLIBORは1年以下の短期金利の指標であることがわかります。

そのなかでも6カ月物の取引が最も多く行われています。

円LIBORのユーロ円とは

LIBORの対象通貨のうち日本円で取引されるものを「円LIBOR」といいます。

そして円LIBORは翌日物から12カ月物のユーロ円のレートで取引されています。

ここで注意点としてユーロと聞くと欧州の通貨ユーロをイメージしやすいですが、ユーロ円とは日本国外で取引されている(日本国外の金融機関に預けられた)円資金のことをさしています。

ですので例えば、日本のA銀行が日本のB銀行の海外支店に円を貸しつけた場合の円はユーロ円になります。

その他にも外国の企業が日本に商品等を輸出したことで得る代金を外国の銀行で受け取った場合の円もユーロ円ですし、円建て債の発行によって獲得した資金を外国の銀行に預けている場合の円もユーロ円です。

ここで言う外国の銀行とはヨーロッパの銀行に限りません、日本以外の海外の銀行であればユーロ円となります。

そのユーロ円のうちロンドン市場で取引されている円を対象としたLIBORが「円LIBOR」です。

LIBORとLIBIDの違い

LIBORはリファレンス・バンクまたはパネル行と呼ばれている複数の銀行がインターコンチネンタル取引所に無担保で資金調達を行う場合に想定される金利(レート)を提示して、その集計した金利(レート)から上下25%を除外した残り50%を対象に平均値を算出することで決定しています。

そのさい貸し出したい金利もあれば借り入れたい金利もあります。

貸し出すときに貰いたい金利、例えばA銀行がB銀行にお金を貸すときにA銀行がB銀行に支払ってほしいと考える金利がLIBORです。

借り入れたい金利とは上の例で言えば、B銀行がお金を借り入れたいときにA銀行に対して○%の金利なら借りたいと希望するレートのことで、これをLIBIDといいます。

hana
hana

LIBIDとは「London Interbank Bid Rate」の略です

このLIBORとLIBIDの仕組みは外国為替とほぼ同じです。

LIBORの「オファード・レート」が外国為替でいう売り手の提示額、LIBIDの「ビッド・レート」が買い手の提示額ということになります。

通常為替には売りと買いで価格に開き(スプレッド)がありますが、同じようにLIBOR・LIBIDにもあります。(通常LIBIDがLIBORよりも8分の1(0.125%)低い金利水準)

では、なぜLIBIDではなくLIBORが基準(ベース)になるのか、というと短期金利の指標として多くの取引に利用される点にあります。

LIBORを利用した取引

LIBORは主に金利スワップ(固定金利と変動金利を交換する取引で6カ月LIBORがよく利用される)などデリバティブ取引に利用されていますが、その他にも変動利付債(債券)や資金の貸付、また投資信託のベンチマークなど様々な用途で利用されています。

金利スワップについてこちらの記事↓で解説しています。

資金の貸付を例にとると「なぜLIBIDではなくLIBORなのか」がわかりやすいので以下、貸付を例に説明します。

銀行Aが企業に資金を融資したいが貸付資金が不足しているため銀行Bに融資を頼みたい。そのとき銀行Aが希望する借入金利はLIBIDだが、銀行Bが提示する貸付金利はLIBOR。銀行Aとしてはなんとか低い金利(LIBID)で借りたいが、それでは借りれそうにない。ただしLIBORでなら確実に借りることができる。そこで銀行Aは「LIBOR+○%」の金利で企業に融資をすることで儲けをだすことができる。

hana
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例のようにLIBIDでは取引が成立しないおそれがあるので確実に成立するLIBORが基準金利になっています。

なお、企業が資金調達を行うさい通常は「LIBOR+○%」の一定のマージンが発生しますが信用力(財務内容など)の程度により、LIBORと同水準で資金調達が行われる場合があります、これをLIBORフラット(Lフラット)と言います。また、信用力の高さからLIBORよりも低い金利水準で資金調達が行われることもあります、これをサブLIBORと言います。

LIBORとTIBORの違い

LIBORのロンドン市場での銀行間取引金利に対してTIBOR(タイボー)とは日本国内(東京)の銀行間取引金利のことです。

TIBORはTokyo Interbank Offered Rateの略で一般社団法人全銀協TIBOR運営機関が算出しています。

通貨には本邦無担保コール市場(金融機関が短期的な資金の過不足を調整する市場)に基づく「日本円TIBOR」と本邦オフショア市場(制度上の制約の少ない市場)に基づく「ユーロ円TIBOR」があります。

対象期間は①1週間物②1カ月物③3カ月物④6カ月物⑤12カ月物の5つがあり毎営業日11:00時点の金利(レート)を公表しています。

TIBORは金融派生商品等のデリバティブ取引にともなう利用や企業への資金貸付時の金利(例:TIBOR+○%など)としても利用されています。

さいごに

この記事では「LIBORとは何か?」といったLIBORの基本的な仕組みについて解説しました。

LIBOR自体は銀行間の取引金利ですが、記事内でもふれましたように企業への貸出のさいに金利として適用されているケースや、金利スワップ等のデリバティブや債券等の金融商品に利用されている場合があります。

冒頭でもお伝えしましたがLIBORは2021年末で公表が停止される可能性があります、そのため現在の契約等にLIBORを利用されている場合は一定のリスク管理が必要となるケースがあります。契約状況等の確認をされて検討されるといいかもしれません。