こんにちは。
1級技能士(ファイナンシャルプランナー)のhanaです。
今回のFP2級・FP3級資格講座は宅地の相続税評価額を計算する方法について説明します。
宅地の評価額は各種補正率や加算率で大きく変わりますので、計算方法の違いや目的をしっかり押さえておきましょう。
宅地の相続税評価額
自宅の敷地や事務所・店舗等の敷地である宅地の評価は1画地ごとに評価をします。
評価方法は宅地の所在地に応じて国税庁が指定する路線価方式と倍率方式の2種類があります。

登記上の1筆の土地と宅地評価の1画地は範囲が異なる場合がありますので注意してください。
路線価方式とは
【出典】路線価/名古屋市西区(国税庁)
路線価とは、宅地が接する道路に設定された宅地1㎡あたりの価格のことです。
路線価は千円単位で表示され数字の横にはアルファベットで借地権割合が示されています。
例えば、宅地に接する道路に路線価『400C』と記載されている場合、宅地1㎡あたりの価格が40万円、借地権割合が70%となります。
借地権割合
・A=90%・B=80%・C=70%・D=60%・E=50%・F=40%・G=30%
市街地にある宅地には路線価が設定されているので路線価をもとに宅地の面積や奥行き、形状等を調整して価格が算出されます。
路線図は以下の国税庁のホームページから確認できます。
路線価方式の計算方法
路線価方式の宅地評価計算式
正面路線価×地積(面積)=宅地の評価額

上記の式はあくまで基本の計算式です。実際の土地取引では奥行き・形状等を考慮して様々な補正率をかけて調整されます。
宅地の評価額が下がる各種補正率
道路からの距離である奥行が長い宅地や短い宅地には奥行価格補正率を使います。
奥行価格補正率を考慮した路線価方式
正面路線価×奥行価格補正率×地積(面積)=宅地の評価額
その他、いびつな形状の宅地には不整形地補正率、道路に接する間口の狭い宅地には間口狭小補正率、間口が短く、かつ、奥行が長い宅地には奥行長大補正率、宅地が崖に接する場合はがけ地補正率を使って宅地の相続税評価額を算出します。

この項目で紹介した補正率はすべて「1」を下回りますので、宅地の評価は減額されることになります。
宅地の評価額が上がる加算率
宅地が接する道路に2つの路線価が設定されている角地や準角地の場合、側方路線影響加算率を使います。
側方路線影響加算率を使う場合の計算手順
まずは、2つの路線価から正面路線価を決定しなければなりません。
求め方はそれぞれの路線価に奥行価格補正率をかけて求めます。
計算の結果、価格が高い側が正面路線価、低い側が側方路線価となります。
角地・準角地である宅地の 評価額計算式
(正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率)×地積(面積)
上記で求めた価格が相続税評価額となります。
また、宅地が角地や準角地ではなく、正面と裏面に接するように宅地が道路に挟まれている場合は二方路線影響加算率を使って価格を求めます。
計算方法は側方路線影響加算率の場合と同じで、側方路線価⇒裏面路線価、側方路線影響加算率⇒二方路線影響加算率と当然に名称は変わりますが、計算手順は同じです。
倍率方式とは
倍率方式は、主に市街地以外の路線価が設定されていない地域の宅地価格を求める方法です。
倍率方式による計算方法
固定資産税評価額×倍率=宅地の相続税評価額

倍率は宅地の所在地等を考慮して国が指定します。
さいごに
今回はファイナンシャルプランナー2級・3級試験科目から宅地の相続税評価額の求め方について説明しました。
角地や二方路線の場合は、まずは正面路線価を決定しなければならないため、計算手順が増えて最初は難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、計算問題を解いていくことですぐに慣れますので大丈夫です。
その他、土地や建物に関する相続税評価額については以下の記事でも解説しています。