こんにちは。
1級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)のhanaです。
今回の無料FP資格講座は老齢厚生年金の計算方法、加給年金、経過的加算、振替加算について説明いたします。
FP2級、FP3級試験ともに老齢厚生年金の問題は必ずといっていいほど出題されますのでしっかり押さえておきましょう。
※老齢基礎年金については以下の記事で解説しています。
老齢厚生年金
会社員などの厚生年金保険加入者は原則として65歳から老齢厚生年金を受給することができます。
これから老齢厚生年金の計算方法を説明いたしますが、計算にあたり注意すべき点がありますのでお伝えします。
最新の老齢厚生年金に関する情報は、日本年金機構の公式ホームページで確認できます。
特別支給の老齢厚生年金
老齢厚生年金は以前は60歳からの支給開始でした。
そのため現在支給開始年齢を段階的に引き上げる移行措置がとられています。
このことから65歳から受け取れる老齢厚生年金に対して60歳から65歳に達するまでに受け取れる年金を特別支給の老齢厚生年金と呼んでいます。
受給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」の制度です。
さらに、特別支給の老齢厚生年金は報酬比例部分と定額部分で構成されています。
初見ではイメージしにくいかもしれませんが、60歳から65歳に達するまでの報酬比例部分が65歳からの老齢厚生年金に相当し、定額部分が65歳からの老齢基礎年金に相当します。
先ほど、支給開始年齢を段階的に引き上げている、とお伝えしましたが、これは特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分と定額部分のことで、生年月日に応じて引き上げられます。
昭和16年4月2日以後に生まれた男性(女性は昭和21年4月2日)から1歳ずつ2年ごとに定額部分の受給開始年齢が引き上げられています。
昭和28年4月2日以後に生まれた男性(女性は昭和33年4月2日)から1歳ずつ2年ごとに報酬比例部分の受給開始年齢が引き上げられています。
この結果、昭和36年4月2日以後に生まれた男性(女性は昭和41年4月2日)から特別支給の老齢厚生年金は受給できなくなります。
特別支給の老齢厚生年金の計算方法
特別支給の老齢厚生年金は厚生年金保険の加入期間が1年以上あり受給要件を満たしている場合に支給されます。
報酬比例部分+定額部分で構成され一定の条件を満たすことで加給年金も支給されます。
報酬比例部分
報酬比例部分は平成15年3月までの期間と4月以後の期間でわけて計算します。
①平成15年3月までの期間
平均標準報酬月額×乗率×平成15年3月までの被保険者期間の月数
②平成15年4月以後の期間
平均標準報酬額×乗率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数
①+②の金額が報酬比例部分となります
FP2級、FP3級試験においては平均標準報酬月額は給与の平均で、平均標準報酬額は給与+賞与の平均だと理解しておけば問題ありません。
定額部分
定額部分は、以下の計算式で出すことができます。
1,626円(令和2年4月分からは1,630円)×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数
加給年金
一定の条件を満たすことで、特別支給の老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
加給年金を受給するには厚生年金の被保険者期間が20年以上、かつ、扶養している65歳未満の配偶者や子(18歳到達年度末までの子、または障害等級1級・2級の20歳未満の子)がいることが条件です。
到達年度末までとは3月末日までのことです。
支給額は配偶者は22万4,500円(令和2年度は22万4,900円)、子は2人までは(1人につき)22万4,500円(令和2年度は22万4,900円)となり3人目以降は(1人につき)7万4,800円(令和2年度は7万5,000円)となります。
支給期間は配偶者が65歳に達するまで(子の場合は18歳または20歳まで)、厚生年金に加算されて支給されます。
経過的加算
経過的加算とは、65歳から支給される老齢基礎年金が特別支給の老齢厚生年金の定額部分より少なくなる場合に、その差額を支給する制度です。
振替加算
振替加算とは、老齢厚生年金に加算されていた加給年金は配偶者が65歳になると支給されなくなります、そのさい配偶者の老齢基礎年金だけでは少額になる場合が多いため、それを補う目的で振替加算として配偶者の老齢基礎年金に上乗せされる制度です。
<老齢厚生年金 分かりやすい解説動画>
さいごに
今回はFP2級、FP3級試験出題範囲から老齢厚生年金について、特別支給の報酬比例部分、定額部分の仕組み、年金額の計算方法、加給年金、経過的加算、振替加算について解説させていただきました。
受給要件や年金額の計算時など、数字が多く出てきますので、最初は戸惑われるかもしれませんが慣れてくると問題なく対応できますので、頑張っていきましょう。
在職老齢年金については以下の記事で解説しています。