こんにちは。
1級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)のhanaです。
今回はFP2級、FP3級試験に出題されやすい健康保険の仕組み、保険料、各種給付(療養の給付、高額療養費制度、傷病手当金、出産手当金、出産育児給付金、埋葬料)について説明します。
健康保険
社会保険制度の一つである公的医療保険には自営業者や学生などを対象とする国民健康保険、会社員などを対象とする健康保険、原則として75歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度があります。

国内に住所のある人は、皆いずれかの医療保険制度に加入する国民皆保険制度が採用されています。
健康保険の加入対象者
健康保険は企業に勤める会社員や、その会社員に扶養されている被扶養者を対象に業務外の病気、ケガ、出産、死亡に対して保険給付を行う制度です。

業務上のケガなどは原則として労災保険の対象になります
パートやアルバイト、派遣社員等の非正規雇用の場合でも、所定労働時間、日数が一般社員の4分の3以上であれば加入対象になります。

企業の役員は加入対象ですが個人事業主は加入することができません。
被扶養者になるには要件があり、年収が130万円未満(60歳以上の場合や一定の障害がある場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年収の2分の1未満である親族が対象になります。
※2020年4月から被扶養者の要件に「原則として国内に居住していること」が追加されました。居住の有無は住民票(住民基本台帳に登録)で判断されます。(海外に在住している場合でも留学や転勤に同行しているなど一定の要件に該当する場合は2020年3月以前と同様、被扶養者として認められます)
なお、被扶養者は保険料を納める必要はありません。
健康保険の保険料
保険料は、毎年4月から6月の給与の平均額(標準報酬月額)と賞与の平均額(標準賞与額)に定められた保険料率をかけて計算します。
その保険料を労働者である被保険者と使用者である事業主が労使折半(半分ずつ)で負担します。
なお保険料率ですが、健康保険の運営団体は、協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)と組合健保(組合管掌健康保険)の2種類あり、協会けんぽは都道府県ごとに定められ、組合健保は組合の規約で定められています。

育児休業中の保険料は被保険者、事業主負担分ともに免除されます!
健康保険の給付
ファイナンシャルプランナー試験で出題されやすい項目を中心に説明します。
給付金 | 内容 |
療養の給付 | 業務外の病気やケガに対しての医療給付 |
医療費が高額になった場合 | 同じ月の1か月間の医療費が所得区分に応じた自己負担限度額を超えた場合、超えた分の払い戻しを受けることができる高額療養費制度 |
傷病手当金 | 同一の病気やケガで給与が支給されない場合の給付 |
出産育児一時金 | 出産した場合、一児につき42万円または40万4,000円が支給される制度 |
出産手当金 | 出産のため会社を休業し給料が支給されない場合に支給される制度 |
埋葬料 | 被保険者や被扶養者が死亡した場合に支給される制度 |
療養の給付
業務外の病気やケガに対して3割の自己負担(69歳以下)で外来、入院による医療給付を受けることができます。
自己負担割合は年齢や所得で違いがありますので、以下記載します。
①小学校入学前の児童は2割負担
②70歳から74歳までの人は2割負担(ただし、現役並みの所得があれば3割負担)
③75歳以上は1割負担(ただし、現役並みの所得があれば3割負担)
画像参照:医療費の自己負担割合(厚生労働省)
医療費が高額になった場合
健康保険では同じ月の1か月間の医療費が所得区分に応じた自己負担限度額を超えた場合、超えた分の払い戻しを受けることができる高額療養費制度があります。
なお、事前に自己負担限度額適用認定証を提示していれば、窓口での負担額は自己負担限度額までになります。
平成24年4月1日からは、外来診療についても「認定証」などを提示すれば、自己負担限度額を超える分を窓口で支払う必要はなくなります。
引用:高額な外来診療を受ける皆さまへ(厚生労働省)
所得区分別の自己負担限度額(70歳未満の場合)は下記の計算式になります。
①標準報酬月額83万円以上
25万2,600円+(総医療費-84万2,000円)×1%
②標準報酬月額53万円から79万円
16万7,400円+(総医療費-55万8,000円)×1%
③標準報酬月額28万円から50万円
8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%
④標準報酬月額26万円以下
5万7,600円
⑤住民税が非課税になる低所得者
3万5,400円
※同一世帯で1年間に3回以上高額療養費の対象になっている場合、4回目から自己負担限度額が引き下げられる措置があります。
高額療養費を計算するうえでの注意点ですが、総医療費とは3割負担の金額ではなく10割の金額です。
また、入院時の食事代や個室利用の差額ベッド代は対象になりません。
傷病手当金
病気やケガで働くことができず、連続して3日以上休業した場合、休業4日目から最長1年6か月間、標準報酬日額の3分の2に相当する金額の給付を受けることができます。
画像参照:傷病手当金の待機3日間の考え方
出産育児一時金
出産育児一時金(被扶養者が受ける場合は家族出産育児一時金)は出産した場合、一児につき42万円(産科医療補償制度加入病院での出産)または40万4,000円(産科医療補償制度未加入の病院での出産)が支給される制度です。
出産育児一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産された時に協会けんぽヘ申請されると1児につき42万円が支給されます。
出産手当金
出産のため会社を休業し給料が支給されない場合、標準報酬日額の3分の2に相当する金額が、出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日の翌日以後56日間にわたり支給される制度です。
埋葬料
被保険者や被扶養者が死亡した場合、埋葬料として5万円が支給される制度です。
さいごに
今回のFP2級、FP3級資格試験講座では健康保険の加入対象者、保険料、各種給付について説明しました。
特例措置や例外など暗記すべき点が多く勉強が大変ではありますが、ポイントをきちんと押さえておけば試験に対応できますので頑張っていきましょう。